アベノミクス相場は終わっていない 山崎元が読む、ちょっと先のマーケット

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長期金利はまだ怖くない

アベノミクスに反対したがる人々が、目下唯一期待している波乱材料は、長期金利(10年国債利回り)だ。23日の暴落を見ても、0.86%と、異次元緩和が発表された頃よりも0.3%程度上昇している。

長期金利は、基本的に、予想される名目GDPの変化と同方向に動く。株高や不動産市況の改善が消費増に向かいつつある現状では、このくらいの上昇は、あってもおかしくないし、むしろまだまだ低位に納まっているといえるのではないか。

たとえば、株価と長期金利のグラフを並べて、リーマンショック(2008年9月)前の数カ月の推移を見ると、株価が1万3000円〜1万5000円くらいなのに対し、長期金利は1.5%前後の水準だ。長期金利が1%未満に抑えられていて、株価が1万5000円を超え、今後景気が上昇に向かいそうな今は、すでにサブプライム問題が表面化して日に日に景気が下降しつつあったあの頃と比較すると、随分「上出来」の状況だといえる。

ところで、パニック論者は、長期金利が上昇した場合に、地銀や信金を中心に金融機関に破綻が続出すると危機感を煽るのだが、預金を集めても貸出先を見つけることができず、預貸率(貸出の預金に対する比率)が50%を切り、しかも、利鞘を稼ぐために保有債券の満期を長期化している(ALM=資産・負債の総合管理の側面からは、大いに危険である)金融機関に、果たして将来に向けて存続させる価値があるのだろうか。

次ページ「金利上昇によるパニック論」に現実味はあるのか?
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