「ル・モンド」は世界をどう報じてきたのか

仏紙が伝える「日本の新聞には載らない真実」

「ル・モンド」は「世界」という意味だけあって、フランス以外の国の報道も充実している(写真:michaklootwijk / PIXTA)
世界の5大クオリティペーパーの一つとされるフランスのル・モンド紙を愛読してきた著者が、2003年1月から今年3月まで藤原書店のPR誌で連載してきたコラム160本超を1冊にまとめた。『「ル・モンド」から世界を読む 2001-2016』の意図するところを、東京大学名誉教授、恵泉女学園大学名誉教授の加藤晴久氏に聞いた。

すべて署名記事で構成される新聞

──フランスの顔ともいえる中道左派の日刊紙ですね。

発行部数は決して多くありません。前日の発行部数が毎号載るのですが、1970年代末の50万部をピークに最近は20万部台半ば。読者数は紙版が230万人、デジタル版は1575万人とのことです。

ル・モンドの質の高さは情報の詳細さ、分析の深さ、そして論点の明確さにあると認識しています。世界中の政治家や財界人、有識者がそれを指標とし、判断を下す一助にする。社長から記者までサラリーマンの日本の新聞と違って、すべて署名記事で一人ひとりが責任を持って書いており、記者のメールアドレスも付されているので、読者が直接記者に意見をぶつけることもできる。

──一方、日本の新聞に対してはかなり辛辣ですね。

藤原書店の社長から、9.11後の世界をル・モンドがどう伝えているか書いてほしい、と依頼されたのがコラム連載の始まりでした。面白い記事や日本の新聞が取り上げていないテーマ、取り上げてはいても論点がずれていたり分析が浅いテーマを紹介し、日本の読者に問いかけてほしいと。日本の新聞について、実は私も上っ面を載せているだけという気がしていた。今そこにある問題をリアルに取り上げていない。リアルな問題をリアルに取り上げなければ、リアルな解決法など出てこない。その辺が不十分な気がします。

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