「円安」から「ドル高」に、ドル円は105円へ 市場動向を読む(為替)

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筆者は日米金利差との関係などから「95円までのドル高円安は過去に歪められた価格水準の正常化であり、ファンダメンタルズへの回帰。100円まではその上振れの範囲内」と指摘してきた。ただ、先週、ドル円はその100円を突破して上昇。テクニカル面からの分析では1ドル=105円前後を視野に収めた。「価格正常化」の範疇を超えるドル高円安が進み始めた。これをどのように解釈すべきであろうか。

昨年10月以降のドル高円安を振り返ると、今年2月に1ドル=95円に迫るまでは、押し目もなく、ほぼ一本調子にドルが対円で上昇した。アベノミクスと政治圧力による日銀緩和観測を材料とした、有無を言わさぬ円安相場だった。筆者はこれを「過度な円高の是正」、「価格正常化」、「ファンダメンタルズへの回帰」ととらえてきた。

1ドル=100円を超える円安は「ドル高」の側面が強い

2月下旬以降は4~5円ほどの調整反落を繰り返しながらドルは対円で上昇基調を継続。日銀総裁人事が確定し、日本で材料難に陥る中、欧州でキプロス問題やECB(欧州中央銀行)の利下げ観測が浮上し、ユーロが下落するなど、調達通貨が円以外にも多様化、分散化した。「価格正常化」に伴う有無を言わさぬ「円安」は終わり、ドル円は再びグローバルな相場環境に左右され始めた。

さて、この間、日本株はほぼ一直線に上昇してきた。円安が明確になった昨年11月頃から日本株はドル円との相関を一気に高め、円安に牽引された株高が進んだ。この時から、従来は強い相関を保っていた日本株と米株の相関は急速に低下した。ところが、ドル円が1ドル=95円に到達し、価格正常化が終わった今年2月以降は、日本株とドル円の相関の上昇が頭打ちとなり、その一方で日本株は再び米株との相関を回復させてきた。

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