医師の転職、稼げる地域、稼げる科目とは? 医師の偏在のせいで年収ダウン?

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実はサラリーマンより選択肢は狭い医師の転職事情

皆さん日本にはどれくらい病院があるかご存じですか?

現在8500くらいになります。つまり8500という数が需要側の総数です。医師が働くのは病院だけに限られませんが、ほとんどの勤務医は病院で働くため、医師が転職先を探すときはこの限られた市場の中で、自分に合った病院を探すことになるのです。

病院数はたとえば東京都では642ありますが、島根県では53しかありません。また地方であるほど大学医学部の影響が強くなりますし、大学からの派遣中心の病院だと直接応募しても、その大学との関係を病院が重視すると採用してもらえないこともありえます。とにかくサラリーマンに比べて、その転職先というのはかなり限られたものになるのです。

また、自分の専門の科目で必ずしも募集があるかどうかはわかりません。前述のとおり内科系であれば求人は多く、どこにいっても募集はありますが、外科系や他科系では募集が限られます。

医局という組織を離れてみたものの、希望勤務地では求人がほとんどないという状況も考えられます。そういった意味においても、医師が転職や退局を考えるうえでは、労働市場というのも意識して冷静な行動を取ることが必要となってくるのです。

次のコラムでは、医師のアルバイトについてお話をしていきたいと思います。

中村 正志 医師専任キャリアコンサルタント

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なかむら まさし

 1971年生まれ。関西学院大学社会学部卒。株式会社船井総合研究所にて旅行業、人材ビジネス業、教育機関、医療機関などのマーケティング支援や経営戦略策定を行った後、㈱ニューハンプシャーMCの設立に参画する。

2005年に医師向けの人材紹介サービス事業を開始。「FOR YOU」の経営理念に基づき、医療機関と医師、双方がハッピーになるマッチングを心掛けている。これまで300人以上の医師のキャリア設計に携わり、転職やアルバイト先の紹介だけでなく、医学生や研修医向けの勉強会なども主宰。なお2005年から執筆している「医師のキャリアを考えるブログ」は、投稿数が1000を越え、ドクターの読者も多い。国家資格 2級キャリアコンサルティング技能士


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