トヨタとスズキ、「お見合い開始」会見の真相 豊田章男社長「まだ何も決まっていない」

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 ――具体的な提携の中身を教えてほしい。

豊田:今日は、先週鈴木会長からお話をいただいた内容について今後検討していくというアナウンスをした。そのため何も決まっていない。情報技術について話をしたが、今後のエネルギー問題や環境問題を考えると、1社でやれることは限られている。協調や標準化について協議していく。

――将来の資本提携を考えるのか。

鈴木:せっかちな質問だ。ゆっくり考える。

豊田:ゆっくり考えます。

――スズキはこれまで米GM(ゼネラルモーターズ)や独VW(フォルクスワーゲン)と提携し、痛い目も見てきた。今回トヨタを選んだ理由を聞かせてほしい。

鈴木:これまで60年にわたって、いろいろなメーカーさんと「勉強」させていただいた。

トヨタとスズキはまだ「お見合い」の段階

会場に詰めかけたあふれんばかりの報道陣を前に、豊田社長(左)と鈴木会長はガッチリと握手

――トヨタはダイハツ工業を完全子会社化したばかりだが、スズキとどう関係を構築するのか。2社を合わせた軽自動車のシェアは6割になる。独占禁止法に対する考え方は。

豊田:ダイハツとは50年にわたって長い歴史を共にしてきた。だからこそ、トヨタの小型車事業をお任せしようと考えた。スズキとの関係はあえて言うと、まだお見合いの段階。両社や自動車産業の発展に向けて、何ができるかをこれから考える。独禁法についても十分に踏まえて検討を進めていく。両社間で公正かつ自由な競争を行うことが前提になる。

――スズキが得意とするインド事業でどう協力するのか。

豊田:インドはスズキがフロンティアとして開拓した市場。国の発展を思い、自動車産業の発展を牽引してきた第一人者。トヨタもかつては東南アジア各国で同じような取り組みをしてきたので、その思いや苦労には非常に共感することがある。

スズキは誰よりも早くインドに出て地に足をつけ、汗をかいて、チャレンジしてきた。「インドでスズキを活用する」というのはスズキに対して大変失礼。開拓精神を学ばせていただく。

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