納得!ニトリが大切にする「成功の5原則」 何よりロマンを持つことが大事だ

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このように書くと簡単なことのように思えますが、本書を読んで興味深かったのは、「似鳥氏と一緒にアメリカへ訪れた40人ほどの人々は、同じ家具業界の人でありながら、ひとりとして同様のロマンを描けた人はいなかった」ということです。

“ 他の人たちが、アメリカの家具文化のうちの1つ2つを「あ、このテーブルちょっといいな」という感じで、適当に「いいとこ取り」しようと考えていたとき、私は「日本の家具文化はこれからすべて変わっていく。(中略)」と考えました。”

 

この「視点の違い」こそが、似鳥氏の述べる「ロマン」なのです。そして、この「ロマン」を抱いた似鳥氏の行動が、以前と比べてどのように変わっていったのかも本書では書かれています。結果としてこの気持ちがビジネスを大きく動かしました。本書は、そのようにロマンを持ち、先をイメージすることの大切さを教えてくれます。

似鳥氏は、ロマンの持ち方について、このようにも書いています。

“ ロマンを心に焼き付けるためには、想像してみることです。そのロマンが実現したときに、どんなことが起き、どんな気持ちになるのか、想像してワクワクしてみるのです。 ”

 

フランスの作家・ジュールヴェルヌは、「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」と述べていますが、いかにリアルな想像をできるか、本気で自分ごととして想像できるか、が成功の原則なのでしょう。

いかにして「ロマン」を実現するか

しかし、「ロマン」だけでは夢は実現しません。似鳥氏は、「ビジョンを持つことで、それだけでは漠然としていたロマンが形を持ってくる」と言います。このときの「ビジョン」とは、具体的な目標のことです。

“ ビジョンとは、20年以上先に達成すべき、長期の目標です。目標とする数字とそれを達成するまでの期限を入れた、具体的な数値目標を言います。しかもそれは、達成不可能とも思えるほど大きな数字でなければなりません。 ”

 

『ニトリ 成功の5原則』(朝日新聞出版)。(hontoでの購入はこちら、Amazonでの購入はこちら

そうして立てたロマンとビジョンの追求には、必ずリスクが伴います。その挑戦において必要となるのが、「意欲」。すなわち、「できそうもないことに挑戦する」気概です。さらに、「目標を達成するまでにあきらめない」という「執念」。そして、ありえないほど高い目標を達成しようというときに必要な、今までとは違うやり方を探す「好奇心」が支えとなるのです。

本書を読むことで、似鳥氏の述べる「成功の5原則」が、具体的にどのようなものなのかがわかります。そしてそれが、時価総額1兆5000億円を超えるニトリをつくってきました。

成功するための思考法を求めるビジネスパーソンにとって、本書は成功への指針となることでしょう。

最後に。本書は似鳥昭雄氏が「成功の5原則」を実体験とともに記したものですが、本書を出すきっかけになったのは、2015年4月から日本経済新聞で連載されていた「私の履歴書」でした。

掲載直後から、「ぶっとんでいる」「おもしろい」「そこまで言っていいの?」という評価で話題になった「私の履歴書」の連載も、まとめて一冊の本になっています。似鳥昭雄氏の波乱万丈、破天荒な人生をのぞき見してみたい人には、この本がおすすめです。

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