日本株が回復する条件が国内外で揃ってきた 「外需・グロース・新技術」に主役が交代

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物色の矛先がちょうど今、転換していると考えている。バリュー株からグロース株へ、内需株から外需株へ、ディフェンシブ株からシクリカル(景気敏感)株に、物色が移っていくだろう。世界全体で見て金融緩和政策の限界から、財政出動による景気対策が行われる状況になった。となると、金利に上昇圧力がかかり、インフラ投資や成長セクターにより注目が集まるだろう。

セクターでは、化学、機械、建設、電機、商社などを強気とみている。保険や鉄鋼も弱気から中立に見通しを引き上げた。

金利水準そのものは低く、債券投資での利回りが期待できないことから、引き続き債券代替投資先としてのニューソブリン株への関心は続くだろう。大型株で健全財務、安定配当のいわゆる優良株には底堅いニーズがある。押し目では必ず買いが入ってくる。

スマホからIoTやフィンテック、VRに主役交代

IoTやフィンテック、シェアリングエコノミー、PFIや港湾整備、新幹線などのインフラ関連、VRを軸としたゲーム、3次元NANDなどの半導体、分子標的薬などの個別化医療関連、人材派遣などの労働市場改革関連といったところに注目している。かつての牽引車だったスマートフォン関連は、市場が成熟し部材も含めて競争が激しくなっており、慎重に見ている。

外国人投資家は日本株をスルーしている。日銀によるETF購入の評判が芳しくない。日銀の買いが、株式市場の価格形成を歪めており、バリュエーションに基づいた投資ができなくなっていると言う。また、過去はガバナンス改革やROEの引き上げなどに期待して外国人は日本株を買ったが、いまだにその成果が明らかでない。構造改革や規制緩和が本当に進まないと、外国人の本格的な買いは入ってこないだろう。

現状は、インデックス投資で成果を挙げるのは難しい局面だ。業績、成長性を核に銘柄優先で取り組むべきだろう。成長性のあるセクターごとにバランスよく選んで、ある程度安くなったタイミングで投資する戦略がいいだろう。

倉持 靖彦 みずほ証券投資情報部部長

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くらもち のぶひこ / Nobuhiko Kuramochi

みずほ証券投資情報部部長
経済・市場調査業務等を経て、09年5月より現職。03年以降6年連続で週刊エコノミスト誌や日経ヴェリタス紙のアナリストランキングにランクイン。メディアへのコメント・寄稿など積極的に対外活動。

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