衆院補選が「小池都知事人気」に染まった理由 なぜ小池知事は福岡・久留米市に行ったのか

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ところが自民党本部は、鳩山氏からの公認申請も蔵内氏からの公認申請も受け取らなかった。福岡県内の蔵内氏の力は絶大だが、首相を2人も輩出した鳩山家の御曹司の知名度も侮れない。しかも今回は邦夫氏の弔い合戦でもあり、世論調査では二郎氏が謙氏を大きくリードしていた。

そこで自民党本部は選挙結果を待ち、勝った方を事後公認するというスタンスをとったのだ。

それに抗議して10日午前、蔵内氏が県連会長を辞任した。県連会長として自らが推した息子・謙氏の公認が得られなかった責任をとった形だが、小池氏が鳩山氏の応援に福岡入りする数時間前というタイミングでの会長辞任は様々な憶測を呼んだ。

「蔵内氏は負けが決まってからの辞任を避けたかったのだろう。しかしこれではまるで、民進党の岡田克也前代表のようではないか」

岡田氏は7月31日に投開票された東京都知事選で、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏を擁立。ところが抜群の知名度で選んだにもかかわらず、女性スキャンダルが報道されたり、演説時間が短いとの苦情などから、鳥越氏は急速に失速した。そして30日の午後、岡田氏は突然の次期代表選での不出馬を発表した。「都知事選の責任を感じての不出馬か」との記者の質問には、「それは下司の勘ぐりだ」と否定している。

池袋でも小池知事が熱烈応援

翌11日午前、小池氏は東京都第10区に出馬した若狭勝氏の「第一声」の応援のため、地元池袋駅前でマイクを握った。

「2005年の郵政選挙の時に、初めてこの場で第一声を行った。その時の選挙事務所はあのビルでありました。その選挙事務所、今度は若狭勝さんの選挙事務所となっております」

兵庫県第6区から東京都第10区へ「刺客」として乗り込んだ時、小池氏は比例区との重複立候補を断っている。当時の不退転の決意を懐かしく思い出すかのように小池氏が指さす先のビルの窓には、若狭氏のポスターが何枚も貼られていた。

二階俊博幹事長も珍しくマイクを握っている。党務を牛耳る二階氏は、懐が深い政治家として永田町で知られている。知事選で小池氏を応援したため除名処分になりかけた若狭氏を放免し、自民党公認候補に押し上げた。そして安倍晋三首相ですら、動かすほどの実力者だ。

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