マルちゃん正麺に学ぶ、子どもの”導き方” SWOT分析で教育を分析しよう

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外資系のトップコンサルタントがそのノウハウのすべてを子どもの「お受験」につぎ込んだらどうなるのか――。そんな壮大な“挑戦”をしたのが牧田幸裕氏だ。
現在は信州大学准教授の牧田氏、その経歴はド派手だ。京都大学大学院に1位で合格、その後は、外資系コンサルティング会社にトップで内定し、IBMでも4期連続最優秀インストラクターを獲得。だが、牧田氏自身は「決して自分は天才タイプではない」と語る。
ではどうやって「知のトップ」を走り続けることができたのか。その答えがビジネス、勉強の 両方に通じる「得点力」と呼ばれるスキルにあると言う。「得点力を鍛える」を記した牧田氏は、「親として得点力は子供の受験に活かすことができる」。そう豪語する彼の“挑戦”は長男の最難関国立小学校合格という結果で幕を下ろした。
父として、子どものお受験にどのように携わったのか。また、ビジネススキルはお受験にどう活きるのか。「お受験パパ」が受験戦争でのサバイバル術のすべてを伝える。

ビジネスの最前線で活躍するパパやママの中には、マーケティング戦略の立案や商品企画に携わる方もいらっしゃるかもしれない。このような仕事に携わっている方は、SWOT(スウォット)分析という分析手法をよく活用されていることだろう。今回は、このSWOT分析を活用しながら、マーケティング分析や商品企画のビジネススキルが、大学生の就職活動や子どもの教育方針策定に役立つということを検討してみたい。

SWOT分析とは、外部環境(市場や競合企業)の脅威や機会を分析し、内部環境(自社)の強みと弱みから市場参入機会を発見する分析手法である。国内外のMBAで経営戦略やマーケティングを学ぶと、必ず使用する機会のあるフレームワークだ。

マルちゃん正麺に学ぶこと

市場の機会を発見し、そこで自社の強みを生かすことができるのであれば、そこには市場参入機会があるといえる。たとえば昨年大ヒットした東洋水産の「マルちゃん正麺」は、SWOT分析が機能した例だといえる。それまでインスタントラーメンはラーメンと名は付くものの、ラーメン屋で食べるラーメンとはレベルの違う食べ物で、私たちもラーメンとは名が付くが「まあこんなものだろう」と許容していた。

一般的にインスタントラーメンは麺を油で揚げるフライ麺が主流だ。しかし、東洋水産は生麺をそのまま乾燥させる技術を考案、自社の差別化要素=強みとなった。顧客が「まあこんなものだろう」と思うのと同じように、競合企業もインスタントラーメンを「まあこんなものだろう」と考える「業界の常識」があったのかもしれない。だが見方を変えれば、そのような業界の常識は、イノベーションの機会でもある。

東洋水産は、このような市場の機会に自社の強みを生かすことができ、「マルちゃん正麺」を市場に投入することができた。そして、2012年度は2億食を超えるヒットとなったのである。

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