「伝説の教師」から学んだ、最強の英語勉強法 日本の英語教育を変えるキーパーソン 石渡誠(中)

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安河内:文法のための文法授業がないということですね。ライティングであれば不定詞toの後ろに原形が来るというのはこれも一種の文法で、これができていないと、書けなかったり、しゃべれなかったりしますよね。そういったことは暗唱をする過程で教わるということですか?

石渡:ええ。まず、そういった基礎がわかるようになってから、理屈は必要に応じて学ぶという形でしたね。ライティングをしながら、「きれいに文章を書くには、こういうところは間違えちゃだめだよ」と教わる感じでした。

実際に泳ぎながら、きれいな泳ぎ方を学ぶ

安河内:これを読んで「ああ、じゃあ文法は一切やらなくていいんだ」と勘違いしてしまう人がいるといけないので、あえて細かく質問させてもらったのですが、一定のルールはやはり勉強されたということですよね。

石渡:ええ。ただ文法力も語彙力をつけさせるためには、いろいろな方法があるということも、あえて指摘しておきたいですね。松本専門学校で学んでいたとき、簡単な表現でわれわれが教わったのは、「英語について勉強しても英語の勉強にはならない。英語そのものを勉強しなさい」ということでした。

日本人はどちらかというと、英語の文章があると、それを解体・分解して「構造的にはこうだ」とか「文法的に説明すればこうなっている」などと言って、英語を理解したつもりになる傾向が強いように思います。ですが、これは英語に対しての知識を深めているだけなんですよね。

水泳に置き換えれば簡単かもしれません。水の中に入らずに泳ぎ方について一生懸命勉強していても、泳げるようにはなりませんよね。実際に泳ぎながら、きれいな泳ぎ方を学びなさいというのと同じことなのです。

安河内:私はそれと同じことを、ピアノの演奏を例にしてよく話しています(笑)。

石渡:ああ、なるほど、同じですね。ちょっと言葉は悪いかもしれませんが、日本人は英語を暗号解読のようにとらえがちに感じます。言葉ではなく暗号なんですね。英語は話せないけれど、英語は解読できるので、どういうことが書かれているかわかるのです。

安河内:そうそう! 漢文と同じですよね。学校や予備校では、英語ができない人に英語を読ませるために、日本でしか通用しない特殊な技法を教えているように思います。

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