日本版ISAは、顧客基盤を拡大するチャンス インタビュー SMBC日興証券 久保哲也社長

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実績の積み重ね着実に、案件とりこぼしは「重大事」

――日興はリテール力が非常に高く評価される反面で、ホールセールには強化が必要とみられてきました。

久保 哲也(くぼてつや) 1953年生まれ。三井住友銀行で主に国際、投資銀行部門の役員を歴任。2009年の日興証券買収を陣頭指揮した。三井住友フィナンシャルグループ代表取締役兼三井住友銀行取締役副頭取を経て、2013年4月に現職に就く。

強いリテールをさらに伸ばしつつ、ホールセールのビジネス基盤をどのように構築していくのか。この3年間、たいへん困難な経営環境にあったにもかかわらず、この課題に一定の前進を果たしたと言える。

だが、総合力においては、いまだ上位のプレーヤーとの間に格差がある。その差を詰めて互角に並ぶ必要がある。そのためにも、実績がものを言う世界なので、とにかく、案件を手掛けていくことが重要だ。

そこで、強化分野において、とにかく、第1号案件の実績を獲得しなければならないという姿勢で取り組んできた。その結果、サムライ債の主幹事、株式のグローバルオファリングのジョイント・グローバル・コーディネーターなどで実績を上げることができた。クロスボーダーのM&Aの実績は「まだまだ」だが、階段を一段ずつ着実に上って、未実績の領域をなくす。そうすれば、互角に戦えるようになる。特に、M&Aはブランド力、評判の世界だから、ぜひとも、実績を積み上げて、ホールセール、海外分野で質の向上を伴って成長していく。

そのためにも、ビジネスの取りこぼしは重大事であるという厳しい緊張感が欠かせない。実際、ほかの証券会社にはそれが人事などに徹底されている。もともと、そういうテンションは内在しており、実力も備わっていたはずだが、日興シティ、日興コーディアルと変遷した経緯の中で、少し、そのあたりの意識が薄まってしまったのではないかという気もする。当社も業界標準的な厳しさを再び確立する必要がある。

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