10年前の失言がトランプ氏の息の根を止めた 「トランプ女性蔑視発言」に共和党内が大混乱

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下院議長を務めるポール・ライアン氏(写真:REUTERS/Joshua Roberts)

2012年に共和党代表として副大統領選に出馬し、現在は下院議長を務めるポール・ライアン氏はウィスコンシン下院議員選挙区へのトランプ氏との同行をキャンセルした。

ライアン氏はこれまでトランプ氏に対する軽蔑の意を露わにしてきたため、2人が同じ場に立つことはなかった。今回は2人が同じ場所に姿を現す初の選挙遊説となる予定だったが、かなわなかった。

連邦上院議員のミッチ・マコーネル氏はトランプ氏を明白に非難した。マコーネル氏とライアン氏は、より踏み込んだことも行っているようだ。内部関係者は、両氏が共和党議員に対し、トランプ氏との政治上の繋がりを切る許可、つまり応援をしなくても構わない、との許可を与えていることを認めた。

全国各地の共和党員が今、大混乱の中にいる

保守的で宗教心の強いユタ州では特にトランプ氏に反対する動きが顕著だ。現在のユタ州の州知事であるゲーリー・ハーバート氏はトランプ氏への支援を取り下げ、同様に影響力のあるマイク・リー上院議員、ジェイソン・チェイフェッツ下院議員も後に続いた。

ユタ州だけに限らず、全国各地の共和党員が今、大混乱の中にいる。特に11月の上院選挙での再選がかかっている共和党の上院議員にとっては重要だ。この中にはジョン・マケイン氏 (2008年共和党代表大統領候補) も含まれ、マケイン氏はトランプ氏の問題発言に対し「許しがたいことだ」とコメントしている。その中でも連邦議会で最も有力な共和党の女性議員とされるニューハンプシャー州から選出されたケリー・エイヨット上院議員に対する影響はかなり大きく、再選挙に出馬することすらできなくなってしまう危険と現在隣り合わせであるという。

トランプ氏がさらに恐れるべきことは、彼を大統領候補から取り下げようという国民の声が日に日に大きくなっていっているということだろう。今回の大統領選挙で出馬したニューヨーク州のジョージ・パタキ元州知事と、2012年の選挙でに少しの期間だけ選挙活動をしていたユタ州のジョン・ハンツマン元州知事は、トランプ氏は今回の大統領選を諦めるべきであると声を揃えた。

トランプ氏に他の共和党員の怒りの声に耳を傾けようという姿勢は一向に見られない。トランプ氏は金曜、「私の発言で怒らせてしまったかもしれない人達に謝罪した」という短い声明を発表した。その明らかに心のこもっていない謝罪は、火に油を注ぐだけの結果となった。

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