表舞台から姿を消した?水彩画を見直す 油絵が主、水彩画が従ではない

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今回の展覧会では、画家たちが水彩画について残した言葉も紹介している。

「移ろいゆく気持ち、瞬間的な感動をスナップショット的に表現できる大切な手段だと考えていたことがわかる。油彩画では格闘するけれども、水彩画は肩の力を抜いて素直な気持ちを出す、という使い分けをしている。決して油彩画が主で水彩画が従ではないんです」。

現代の作家では、冒頭の北村佳奈のほか、前回紹介した山口晃も水彩絵具を使っている。「今はデジタルメディアなど、表現媒体がたくさんあるので、ひと昔前のヒエラルキーの意識はなくなってきた。たまたま自分に合った表現手段として水彩絵具を選び取っているのです」。

会場には紹介した画家のほか、浅井忠、岸田劉生、古賀春江、野見山暁治、若林奮、難波田史男、山口晃らの水彩画が並ぶ。画家たちが伸び伸びと描いた水彩画を見て、油彩画との違いを感じてみるのも面白い。展覧会の図録は『水彩画 みづゑの魅力 明治から現代まで』として青幻舎から出版されている。


「水彩画 みづゑの魅力 明治から現代まで」

4月20日~6月16日

平塚市美術館
神奈川県平塚市西八幡1-3-3
TEL0463-35-21119:30~17:00(入場は16:30まで)
月曜休み
一般800円                                         6月2日まで「絹谷幸二展」が同時開催されている


 

仲宇佐 ゆり フリーライター

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なかうさ ゆり / Yuri Nakausa

週刊誌のカルチャーページの編集・執筆を経て、美術展、ラジオ、本などについて取材、執筆。全国の美術館と温泉をめぐり歩いている。

 

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