「安く買い叩かれる物件」を間取り図で見抜け 「売りたいときに売れない」リスクを回避せよ

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おわかりになっただろうか? 正解は、上がリフォームしやすく、下がリフォームしにくい間取りといえる。

水回りと階段の位置をチェック!

リフォームしやすさのポイントは2つ。「水回り」と「階段」の位置をチェックすることだ。

水回りの移動には、上下水道の配管をいじる必要があり、費用もかかるほか、専門的な知識も必要となる。中途半端なレベルのリフォーム業者に依頼すると、大きなトラブルに発展することが多い。水回りは1カ所にまとまっていたほうが、リフォームの自由度が増すといえる。

また、階段の位置を変えるのも、構造的な変更が求められ、かなり現実的ではない。最近、高齢化に対応するために階段幅や廊下幅を広げる工事が多いが、こちらも大きな構造的変更が起こる場合が多く、とても大変であることは間違いない。

高齢化に対応するためのリフォームを考えるなら、玄関からすぐにリビングとなるなど、敬遠されがちな間取りだとしても、先ほどの上の間取りのように、玄関と階段の距離が近く、ホールにもゆとりがあり、水回りもひとつのフロアーに配置されていることが望ましい。このような間取りは、とてもリフォームに適した間取りといえる。

4回にわたって、マイホーム購入にありがちな「落とし穴」について解説してきた。

消費税増税を控え、アベノミクスで景気が上向いてきたこともあり、不動産市場はにわかに活況を呈している。このような状況だからこそ、読者にはぜひ一度冷静になり、落とし穴を回避していただきたい。本連載、および拙著『不動産広告を読め』が読者の一助となれば、筆者としてこれほど喜ばしいことはない。

高橋 正典 不動産コンサルタント

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たかはし まさのり

株式会社バイヤーズスタイル代表取締役。宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、国土交通大臣登録証明事業不動産コンサルティング技能登録者。

1970年東京生まれ。従来の日本の不動産業界の慣習を変え、より顧客に寄り添う「エージェント(代理人)ビジネス」にシフトさせるべく、株式会社バイヤーズスタイルを設立。顧客の物件の資産価値向上のため、業界で初めてすべての取扱い物件に「住宅履歴書」を導入。一般的に売りづらいとされる築年数の古い中古住宅の売買に精通し、顧客から厚い信頼を得ている。

さらに、一つひとつの中古住宅(建物)を正しく評価し、流通させるため「売却の窓口R」を運営し、その加盟店は全国に広がっている。不動産流通の現場を最も知る不動産コンサルタントとして、各種メディア・媒体等においての寄稿やコラム等多数。一方で、一般社団法人相続支援士協会の理事を務めており、相続問題を始めとする家族の諸問題に造詣が深い。自身も30歳で二世帯住宅を建て、その後父親を看取った経験から、後悔のない親とのかかわり方を提唱している。著書に『実家の処分で困らないために今すぐ知っておきたいこと』(かんき出版)などがある。

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