KDDIもO2Oに本腰!商業施設で実験 南町田の「グランベリーモール」で2アプリを実証

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こちらは「くーぴん」。エリア内のクーポン情報が自動で配信される。検索もできる

現在、実験に参加しているのはファッションや雑貨店、レストランなど、施設内の100店舗中約60店以上となっている。「すなっぴん」では自分の買いたい商品を雑誌感覚でチェックし、「くーぴん」からは、チェックしていなかった思わぬおトク情報を得ることができそうだ。

アパレル大手ワールドの「オペーク アウトレット」の責任者に話を聞くと「周辺住民の生活導線の一部になっているので、平日の昼間でも人通りが多いモールだと思う。

1店舗だけでは難しいが、より多くの店舗が積極的にクーポンや情報を配信することで、もっと店舗を利用してもらえるようになるのでは。集客効果を見ながら、積極的に情報を更新していきたい」と期待を寄せていた。 

モールは4つのエリアに分かれており、Wi-Fiの位置情報により、現在、ユーザーがいるエリアのクーポンが配信される

グランベリーモールは今年で開業14年目、年間の来場者数は約680万人で売り上げも順調に伸ばしている。06年にはシネマコンプレックスを増設し、昨年度も大幅な店舗入れ替えを実施するなど、積極的に施設の集客力向上に努めてきた。佐藤和弘総支配人は「紙媒体の効果が薄れるなど、施設をさらにアピールするためには有効な販促メディアが必要だと感じていた。そんなタイミングで実験のお話をいただいた。実験を通してKDDIのユーザーにも働きかけることで、比較的若い顧客基盤を獲得していきたい」と話している。

現在、O2O分野の取り組みでは、NTTグループが阪急阪神ホールディングスと関西で大規模な実証実験を展開している。ソフトバンクもヤフーのサイト広告から実店舗に誘導する「ウルトラ集客」で成果を挙げており、無料通話・メッセージングアプリの「LINE」も特定の商品を購入したユーザーにオリジナルのスタンプを配布するサービスを提供するなど、さまざまな方面で実用化に向けた動きが加速している。

形にこだわらず、さまざまな可能性を探る

KDDIの今後の展開が気になるところだが、同社のライフデザインサービス企画部 松原理部長は「何か決まった形があるわけではない。現在、企業が広告に投じている費用の一部をO2Oのサービスに振り向けてもらうことや、さらにはスマホを使った決済の仕組みにかかわるなど、さまざまな可能性があるだろう。特に限定せずに進めていきたい」と語った。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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