中間管理職は社長の振るう「タクト」を見よ モンベル会長 辰野勇

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会社は社会の中で社員の生活を支えるダムのような役割も担っています。本当は国や自治体がやらなくてはいけないことなのかもしれませんが、それが崩れつつあります。

企業の社会的責任(CSR)とよく言いますが、その第一歩は、従業員の雇用を維持していくということだと考えています。自分の会社の従業員を都合よく解雇しながら、ほかで社会貢献をするといっても、わたしは信用できないと思ってしまいます。

会社経営とオーケストラ

経営者である辰野氏の立場と、中間管理職の立場は違う。辰野氏は創業者として38年間経営のトップに立ち続けてきた経験から、新人マネジャーがオーケストラの一員のように、指揮者である経営者のタクトを見据えることの重要性を説く。

読者である新人のマネジャーは、残念ながら決断する地位にはいないかもしれません。中間管理職は優れたトップに巡り会わなければ不幸な面もありますね。自分で上司は選べませんし、中間管理職に与えられた権限というのは限られていますから。

中間管理職は組織のトップがどちらを目指しているのかをしっかり見て、それを具現化していくことが大事です。オーケストラの一員のように、指揮者が振っているタクトを見据えて、自分のパートでその実現に寄与していく。これは大事なことです。

もし、トップの方向性が自分の思いと違うと思うなら、そしてそれについていけないと思うのなら、その組織を辞めたほうがいい。それはお互いに不幸の始まりですから。

わたしの場合、自分の目指しているものを実現するためにモンベルという会社を立ち上げました。本当に自分の思いを形にしたいと思うのであれば、起業したほうがいい。

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