中1いじめ自殺「言われて一番嫌だった言葉」 ノートの最後に本当に小さな文字で…

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そこで聡志くんは、首をつっていた。意識不明の状態で見つかり、すぐに救急搬送されたが死亡が確認された。

息子を「人間のクズ」呼ばわりする言葉

青森県上北郡にある人口約1万9千人の小さな町で、町立上北中学校に通う中学1年の男子生徒が自ら命を絶った痛ましい事件。

「警察の方のお話では、機敏に実行したとのことでした。非常に計画性が高いと。何で気がついてあげられなかったんだろう……。普段はのんびりしてるのになんでこんなときだけ」と、母親は息子の無念の決意を知り、涙を流す。

ハガキ大のメモに、死を賭して伝えたかったメッセージを残していた。

「『いじめがなければもっと生きていたのにね、ざんねん』とか、いじめていた子の名前と、されて嫌だったことが書いてありました。ノートの最後には、本当に小さな文字で『いわれて一番嫌だった言葉』が書いてありました。すべてをお伝えすることはできませんが、息子を『人間のクズ』呼ばわりする言葉です」

同じクラスの生徒は、「いじめに全然気づいてあげられなかった」と語り、「本当におとなしい、普通の子でした。得意科目は英語かな。発音もよかったし、積極的に手を挙げてました」と偲んだ。

聡志くんは、はっきりとしたいじめ被害に遭い、そのことを打ち明けていた。

「近くの席の子にイスを蹴られて嫌だって言うんです。だから学校に電話で相談していました」と母親。

その結果、担任は相手の生徒に指導をしたという。

担任に言われるということは、あいつが告げ口をしたに違いない。そう考えたのか、その後、相手のいじめに拍車がかかったという。

陸上部で、女子仲間と楽しそうに話す聡志くんを「何で女とばかり話すんだ」とからかう。「お前の日本語は何を言っているのかわからん」とバカにする。そんなしつこいいじめ被害を、聡志くんは母親に伝えたという。

「あれは6月の頭でした。『死にたい』と漏らすようになって……。そのころに1回だけ、ご飯を食べているときに、『学校に行きたくない』とポツンと言ったんです」

子どもの口から何があっても聞きたくない「死にたい」という言葉。子どもを守りたい、救いたい一心で母親は、

「学校に行きたくないのならフリースクールがあると、命の大切さを説いたり、いじめる相手に嫌だと言ってみたらとかいろいろ話をしました」

同時に学校へも相談の電話を再度かけたという。だが12歳の少年の「死にたい」という言葉に込めたSOSを、学校側は緊急の対応が必要だと受け止めなかった。罪深い。

次ページ学校側は母親の訴えを重視していなかった
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