株価高騰の「串カツ田中」、爆走継続への課題 大阪下町のソウルフードが日本を席巻する?

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実際、外食業界には、同じ業態ではいずれ顧客に飽きられるという“業態寿命説”が根強くある。また急激に店舗数を拡大した会社は現場のコントロールが追いつかず、顧客離れを招くリスクもある。

そこで新たな市場を開拓する取り組みを進めている。千葉県流山市などのロードサイドで店舗を6店運営しているが、飲酒運転の厳罰化が進む中で、居酒屋チェーンが大きく成功した例はない。ロードサイドのターゲット層はファミリーとなる。

目指すは1000店体制

直営とFCで1000店体制を目指す串カツ田中。ただ、串カツが儲かるとわかれば同業他社も参入を積極化しそうだ

串カツ田中はもともと住宅街でファミリーが顧客に多いだけに、ファミレス型店舗などよりファミリーに親和性の高い店づくりを模索している。これが上手くいけば、得意とする住宅街に加えて、出店可能立地は一段と広がりをみせる。

また百貨店の地下階でのテイクアウトやスーパーでのソース販売などの取り組みも検討している。今後、重要な顧客になる可能性がある子ども向けの商品やサービスの開発にも力を入れており、アイスクリームを作れるサービスなどが好評だ。10年後、20年後に再び家族連れとなって、戻ってきてくれることを期待している。

上場したことで、株主からは目先の業績計画達成へのプレッシャーも強い。だが、業績計画をクリアすることと同時に、はやりすたりではなく串カツを長く愛される食文化とするための、こうした取り組みを着実に進めることが、目標とする1000店体制に大きく近づくカギとなりそうだ。

水落 隆博 東洋経済 記者

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みずおち たかひろ / Takahiro Mizuochi

地銀、ノンバンク、リース業界などを担当

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