(第4回)利益を生むコンバージェンスのための7原則(後編)

設備投資
 TMT企業を取り巻く環境の中で、大きな負担となっている投資はR&Dだけではありません。設備投資もTMT企業にとって重い負担となっています。
そのひとつの解決策に総務省が後押ししている仮想移動体通信事業者(MVNO:Mobile Virtual Network Operator)による制度があります。MVNOとは、国から周波数の割り当てを受けることなく、携帯電話会社(MNO:Mobile Network Operator)から電気通信設備の一部を借りてサービスを提供する事業者をいい、異業種からの参入もできます(MVNO)。たとえば、強力なコンテンツを持っている事業者は、MVNOで独自の事業を展開できます。一方、MNOは、MVNOを脅威と見るのではなく、販売チャネルの一部としてとらえるとともに、設備投資の回収を早める戦略に位置づけるべきだと思われます。これも組織のコンバージェンスの成功原則のひとつです。
 また、TMT業界では、IT関係の設備投資も各企業にとって、重い負担となっています。代金回収代行や一括請求などを行うASP(Application Service Provider)やアウトソーシングなどは、こうした負担を軽減するもので、こうしたサービスも広義の組織のコンバージェンスといえます。

マーケティング
 マーケティングでは、今後、クロスプロモーションが例外的な手法ではなく、主要な手法になり、その内容も多様化していくと思われます。たとえば、一つの映画やスポーツイベントから、ゲーム、テーマ曲、着メロなどに多面的な展開を進め、相互に販売促進を行うことで、お互いのマーケティングの効果を最大化できる可能性があります(The trillion dollar challenge, DTT)。このようなクロスプロモーションをリードするのは、商社や広告代理店などになっていくでしょうし、広告代理店もイベントなどの開催も自ら手がけるように変化していくと思われます。
 TMT企業は、チャネル・パートナーを競合相手とみなさないよう注意する必要もあります。たとえば、音楽業界は、音楽コンテンツを頒布する技術系企業に対して、神経質な対応をとるのではなく、重要な販売チャネルとして関係を強化すべきだと思います。携帯電話会社も同様で、政府が後押しするMVNOを脅威とみるのではなく、チャネル・パートナーとみるべきだと思われます。

コンバージェンスとM&A
TMT企業にとってM&Aは、組織のコンバージェンスの重要な戦略のひとつであることは間違いありません。TMT業界では、R&D費用、設備投資そしてマーケティングコストが巨大化したため、「収穫逓増の法則」が働き、事業規模の大きい企業が最大の脅威となっているからです(Be prepared, DTT)。しかし、M&Aや合弁事業は、コンバージェンスが順調に進んだケースも失敗したケースもありました。DTTでは、その失敗の原因は、コンバージェンスをM&Aと同一視してしまうことと(The trillion dollar challenge, DTT)、または業界を超えたM&Aを急ぎすぎることにあると考えています(Be prepared, DTT)。DTTでは、放送業界以外の業界が放送業界を買収しても、自社の戦略上の位置づけが曖昧になるだけでなく、自社のコアビジネスを見失ってしまうリスクがあると主張し、業界を超える組織のコンバージェンスは戦略的アライアンスから始めるよう提言しています(Be prepared, DTT)。

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