交渉ベタな人は「早期決着」のコツを知らない ストレスから早く離れ、次の利益を生み出せ

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勝負は端から決していることもあります(写真:MaCC / PIXTA)

ある会社と新しく取引を始める。既存の取引先から商品やサービスの値下げを要求された。クレームに対応する――。このようなビジネスのシリアスなシーンでうまく進めなければならないのが、相手との交渉です。

自分と相手との関係やお互いに求める条件などを加味して、一定の落としどころへ向けて決着していく。拙著『本当に賢い人の丸くおさめる交渉術』でも述べていますが、「相手が喜び」「自分が得する」の2つが両立する丸くおさめる交渉とするためには、「スピード決着を図る」のが望ましいでしょう。

「急いで結論を出すよりも、じっくり交渉したほうが良い結果につながるのでは?」

と思われる人もいるかもしれません。たしかに、結論を焦るあまり、十分な準備をしないままに交渉へ臨んだり、決着を急いでいることを相手に見透かされて足元を見られたりすることはあります。何も焦って進める必要はありませんが、交渉をできるだけ早く決着させるとストレスから早く解放され、浮いた時間を使って次の利益を生み出せます。

スピード決着するための5つのコツ

どのように交渉を進めればスピード決着を図れるのでしょうか。私は弁護士として、これまでに数え切れないくらいの交渉を経験してきましたが、コツは5つあると考えています。

(1)事前準備を怠らない

私のまわりには、「交渉は相手と会ってみて相手の条件を聞いた後、持ち帰って自社でその条件を受け入れられるか検討するもの」と言っている人がいます。別の人は「交渉は相手と会って腹を探り合い、駆け引きをするものだ」という考えです。

しかし、これではあまり上手な交渉はできません。なぜなら、交渉は始まってからの相手との駆け引きで決まるのではなく、むしろ事前準備で成否の8割が決まっているといっても過言ではないからです。

たとえば、相手との交渉に入る前には

▪相手の会社の規模や資金力
▪交渉担当者の権限(交渉担当者がすべてを任されているのか、上司の決裁が必要か)
▪相手が重視する条件(価格なのか、品質なのか、納期なのか等)
▪期限(相手はいつまでに欲しいのか)
▪競合相手(うちとの交渉がまとまらなかった場合、相手は他社に流れるのか)

などをできるだけ詳しく調べておきます。

そして、交渉の事前準備で最も大切なことは「代替案」の準備。目の前の交渉相手と合意ができなくても困らない策を考えておくことです。

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