なぜ企業は「沖縄」に拠点を置くべきなのか 製造・物流ビジネスに変革が生まれる

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2015年、沖縄県が策定した「沖縄県アジア経済戦略構想」。アジアと日本を結ぶビジネス拠点を構築することで、沖縄の発展を加速させるのが基本方針だが、実際に近年、沖縄に企業が続々と集まり始めている。沖縄にはビジネスを飛躍させる様々な利点があったのだ。

急成長するアジア市場に対し
圧倒的なメリットを持つ

近年、沖縄県における製造業等の誘致は、着実に実績をあげている。その背景を知る上で大前提になる事実が、アジア市場が富裕層や中間層の増加により急拡大していること。日本企業にとって、アジアは最重要地域なのは間違いない。ただし、国内外の環境は以前と変化している。

現地に工場などの拠点を置くことは、市場に近く、納期やコスト面でも利点はあるが、アジア諸国には政情不安などによるカントリーリスクがあるのは否定できず、また最近ではアジア地域にテロが飛び火する可能性や、高騰する賃金も、企業としては悩ましい点だろう。安定した電力供給への不安や技術流出などの危険性も考えなければならない。

そこで鮮明に浮かび上がってきたのが、「沖縄」という場所に企業が拠点を置くことの様々なメリットである。国内のため、政治・社会環境の変化や電力への不安などはもちろん少なく、製品の品質管理もしやすい。そして、比較的盲点とされていたのが、その地理的な優位性だ。

沖縄からは日本は北海道、近隣諸国の都市では台北やソウル、上海はもちろん、北京、香港、マニラ、ハノイなどに、飛行機で4時間以内にアクセスできる。まさに東アジアの中心だ。そしてこのエリアには、中国13億人、日本1.3億人、ASEAN諸国に6億人という巨大な市場がある。約20億人のマーケットに4時間でリーチできる、圧倒的なリードポイントがあるのだ。

日本とアジアと結ぶ24時間高速物流は
企業に何をもたらすのか

この立地の利を生かし、沖縄県ではすでに国際物流拠点の形成を進めている。その基点になっているのが那覇空港だ。意外に知られていないが、同空港は羽田空港や関西国際空港と並び、24時間運用されている高機能な空港である。

そして、那覇空港の中でも物流の中核を担うのが、2009年よりスタートしたANA沖縄貨物ハブだ。ほぼサッカーコート4面分に相当する2万7700㎡の施設に最大9機もの航空機を駐機できるスペースが隣接。ANAの貨物事業会社であるANA Cargoにとっても重要なベースになっており、「沖縄に来ない理由はない」といわれるほど、現地に立地する製造業などの企業にとって多くの利益をもたらしているという。

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