サラリーマンより大変? 医師の転職事情 退局をめぐる教授との攻防

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弁護士、会計士など、世間一般で「ゴールドライセンス」と呼ばれる資格の中でもピカイチの人気を誇るのが、「医師免許」だ。とはいえ、彼らのキャリアパスはあまり知られていない。
結婚、出世や転職、果ては、懐事情はどうなっているのか、一般のビジネスパーソンから見ても、彼らがどのようにキャリアを積んでいるのかは気になるところだ。この連載では医師専任のキャリアコンサルタントとして、300人以上の医師のキャリア設計に携わってきた中村正志氏が、医師たちの世間のイメージとは一風異なる内情をつづる。

前回のコラムでは、「研修医」について、その勤務の実態やキャリアについてお伝えしましたが、今回から2回に分けて医師の転職にスポットを当ててみたいと思います。

「そもそも医師って転職するの(できるの)?」

私がやっている仕事を友人に話すと、たまにこんな質問が返ってきます。

患者の目からして、医師が転職するというイメージはなかなか湧かないかもしれません。

一般の方々が見ている求人サイトで、医師の求人広告なんてほとんど出てきませんし、ましてやわれわれのような医師の転職エージェントがいるなんてことも、一般的にはあまり知られていません。

ただ、医師は転職をするんです

はっきりとしたデータはないですが、私が医師のキャリアコンサルタントしてきた経験上、一生涯に転職は平均3~4回くらいするのではと考えております。また、アルバイトを含めると医師はかなり職場を変える傾向があります。
では、何をきっかけに医師は転職するのでしょうか?
まずは医局を辞めて、一般の病院に転職するケースからお話ししたいと思います。

いつ、医師は転職を考えるのか

実は医師の転職でいちばん身近なケースが、「医局を辞める」というタイミングになります。

退局する時期ですが、大学医局にいるメリットをある程度享受できたときがひとつの目安です。具体的には、後期研修(一般的には入局後3~5年を経て最低限の診療スキルを学ぶ期間)などのプログラムをひととおり終えたときや医学博士を取ったとき、さらには専門医(5年間以上の研修を受け、資格審査ならびに専門医試験に合格して、学会等によって認定された医師)の資格を取得したとき、などです。

大学病院は医師の教育機関でもあるので、一般病院に比べ教育環境が整っています。そこで一人前の医師としてどこでもやっていけるという自信がある程度持てるようになると、退局が現実的なものとなります。

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