10月に株式投資をすると意外に儲かる理由 円高、円高と言っていると相場は逆へ?

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一方で、よいシナリオばかりではありません。現在の日経平均株価のモミ合いは9月5日高値を起点とする下落波動の「中間モミ合い」といった認識もできます。その場合、9月27日安値(1万6285円)を下回ると二段下げのパターンとなり、一段安につながるリスクは増大します。

9月の月間ベースでは、日経平均株価とTOPIXは反落し、月足のローソク足では3カ月ぶりの陰線となりました。しかし、筆者はあることに気づきました。「日銀のおかげ」といっても過言ではありませんが、2012年8月からの3カ月間、2014年11月からの3カ月間と同じく、TOPIXが9月で「三点(ほぼ)同時」になったことです。「三点同時」とは、終値が3カ月間、同じ価格が続くこと。2012年、2014年のケースは、そのあと大幅高となりました。今年の7月は1322.74ポイント、8月は1329.54ポイント、9月は1322.78ポイントといったように完全に一致したわけではないですが、こんなに3カ月間が近いのもまれです。10月以降の相場に期待できなくもないというわけなのです。

「Buy in October」はやってみる価値あり?

さて、10月4日は「投資の日」でした。「投資の日」ができた1996年から昨年までの20年間、「投資の日」あるいは前営業日から翌年3月末までのTOPIXの勝率をみると12勝8敗と騒ぐほど高いわけではありません。

ただ、直近10年間でみると、7勝3敗となるのですが、負けのうちの2回は2007年と2008年の話です。つまり、金融危機のあった影響が色濃く出たためと割り切れば、この10年間のパフォーマンスは決して悪くありません。魔物が住むなどといわれる10月ですが、「Buy in October」はやってみる価値がありそうですよ。

日銀によるETF買いのスタンスの変化をきっかけに、日経平均株価をTOPIXで割ったNT倍率の中長期のトレンドが変わってくる可能性が高いとみています。NT倍率は、日経平均株価が優位になると拡大、TOPIXが優位になると縮小する傾向があります。

上の画像をクリックすると、日本テクニカル協会のHPにジャンプします

NT倍率は2005年10月以降でずっと拡大基調が続いていますが、約17年半年ぶりの水準まで拡大してきたのも事実です。1985年以降、滞留日数が多かったのは12.5倍~13.5倍の水準で全期間の52%程度を占めます。直近では8月12日に12.8倍まで拡大しましたが、そのあとは縮小基調が続いているように、上記の水準では当面伸び悩む動きが続くでしょう。

というか、ちょうど頭打ちとなりやすいタイミングにTOPIXの方が注目される環境になってきたということ。ドイツ銀行問題があるからといって、TOPIXへのウエートが高い銀行株買いに恐れる必要はないとみられます。

さて、私が所属している非営利の団体・日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)では、「テクニカル分析について学びたい」という読者の方々のためにハンドブック(初級編①)を作成しました。前回大好評をいただいた基礎編に続く冊子です。無料で配布しておりますので、興味のある方は、NTAAのHPからぜひお申し込みください。なお、基礎編とあわせて2冊申し込むことも可能です。

東野 幸利 国際テクニカルアナリスト

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ひがしの ゆきとし / Yukitoshi Higashino

DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部長。証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)教育委員、日本テクニカルアナリスト協会理事なども務める。
 

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