音楽から始まる、王者コカ・コーラのO2O ネットとリアル、全方位ブランディングの破壊力

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「特に、今回のキャンペーンは、内容も新しくて複雑。店舗の人ともしっかりコミュニケーションをとるようにしている。面白いキャンペーンということで、流通側から事前のお問い合わせをかなりいただいた。実際に、スーパーのエレベーター前などに、売り場を拡大してもらっている」と足立氏。

ただ、足立氏の言うように内容が複雑なため、一般消費者に理解してもらうところが課題にもなっている。

店頭で4ケタの数字が記載されたボトルを見て、その数字が”年”を表していると認識し、なおかつ「商品を購入するとその年にヒットした音楽が聴けるキャンペーン」とぱっと理解するのは、確かに難しいだろう。

「最初の頃は、2011年のボトルを『賞味期限が切れているのでは』『1976年に作ったコカ・コーラですか!?』といった勘違いした人もいたようだ」と足立氏は話す。

テレビCM を始めてからは、認知も高まってきた。テレビCM、屋外広告、イベント、店頭などでも告知している。

テレビCMなどのほか、イベントなどでも認知度向上を図る(写真は、渋谷で行なわれたイベントの様子)

渋谷と福岡で行ったイベントもそのひとつ。街中に、巨大なコカ・コーラボトル型スピーカーが出現し、音楽を流すというプロモーションイベントが行われた。参加者が、巨大ボトルの横に設置された端末から4ケタの“年”を入力。すると、巨大ボトルのラベルに入力した年が表示され、その年のヒット曲が街に流れる。

端末からはコメントも自由に投稿できる。コメントは、巨大ボトル上の電光掲示板で流れる仕組みになっている。各都市2日間ずつ実施し、数千人の参加者を数えたという。

キャンペーンの認知度も高まり、3 週間で45万人という参加者が、今後、さらに増えていくのか、注目される。

もちろん実売は重要だが、日本コカ・コーラがO2Oに取り組む目的は、ブランディングの部分をより重要視しているからだ。消費者に、なぜ、どのように、コカ・コーラを手に取ってもらうか。

これこそ、O2Oの新しい注目すべき取り組みと言えるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

過去の連載が本になりました。『O2O新・消費革命 ネットで客を店舗へ引きつける』(東洋経済新報社)として発売中。Kindle版などの電子書籍も展開開始。

 

松浦 由美子 ITアナリスト

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まつうら ゆみこ / Yumiko Matsuura

ITアナリスト。

ITエンジニアとして半導体ウェハ検査装置の開発や原子力・ETCなどのインフラ制御系システムの開発、大手印刷会社のIT技術センター部門でセキュリティ関連のサービスや画像情報データベース、地図情報サービスなどのWeb開発に携わる。現在は、「ITからリアル世界への翻訳者」として、テクニカルな話題を一般読者にわかりやすく解説することをモットーに活動中。

著書に『O2O 新・消費革命 ネットで客を店舗へ引きつける』(東洋経済新報社、 2012.10)、『O2O、ビッグデータでお客を呼び込め!- ネットとリアル店舗連携の最前線』(平凡社新書、2014.1)、東洋経済オンラインにて「O2O ビジネス最前線」を連載中。

テレビのニュース番組やラジオ、講演など「O2O」に関する出演多数。
連絡先:松浦由美子公式ページ

 

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