0.4%台へ再低下か上昇か、方向探る長期金利 市場動向を読む(債券・金利)

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ちなみに、新発20年利付国債利回りは0.845%、新発30年利付国債利回りは0.925%まで低下し、一時1.0%の大台を割り込んだ。結果、国債の利回り曲線は超長期債利回りの低下が主導して、大幅に平坦化した。

1日2度のサーキットブレーカーはリーマンショック以来

金利を急反発させた原因は特定困難である。一つは、「期初の買い出動」によってロング・ポジションだった投資家による利益を確定する目的の売りが早速に出てきたことだろう。そこへ、オーバーシュートの反動による相場急落を当て込んだディーラーの“吹き値売り”が加わったのではないか。

5日午後には、債券市場が期待していた、日銀の新手法による長期国債買い入れオペが見送られたこともあり、“失望売り”や“手仕舞い売り”もかさんだと見られる。さらに、リスク指標の一つである価格変動性(ボラティリティ)の急上昇を受け、保有する金利リスク量を減らす目的の債券売却も、一部で誘い出されたと推測される。

一方、0.60%台で上げ止まらせた要因もいわゆる手口である。まずは、オーバーシュートの反動による相場急騰を当て込んだディーラーの“突っ込み買い”や、相場急反落の引き金を引いた売り方の、実現益を固めるための買い戻しなどが攻勢に転じたのだろう。また、金利水準が異次元緩和前に回帰したことを受け、相場の押し目を待っていた「期初の買い出動」組も出てきたと推測される。

そうして、5日の長期金利は結局、前日比+0.005%の0.460%まで戻って取引を終えたのだった。なお、債券先物市場では、歴史的な乱高下相場となったこの日、サーキット・ブレーカー(値幅制限超えに伴う売買一時停止措置)が2度も発動された。2008年10月14日以来の椿事という。

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