『婦人公論』に見る、変わる妻たちの関心事 『婦人公論』三木哲男編集長に聞く

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――なるほど……。すると今、女性の悩みや、女性の中で本当に“のたうつもの”とは何なのでしょうか。

まず、老後のことです。40代になると、不安がちらつき始めるようですね。女性は、男性より10年くらい長く生きるので、最後の10年間は1人で過ごさなければならない。近年では社会保障も危ういので、夫が60歳で定年を迎えたときにどれくらいの蓄えがあれば安心かというのが、大きな関心事です。

ちなみに、老後のことを考えるときに、夫の存在を考慮に入れている人は少ない。楽しみにしているのは、だいたい女同士の旅行や遊びで、夫には早くいなくなってほしいと思っている人がかなりいると思います。

――早くいなくなってほしい……。ショッキングですね。

直近の心配事についても、「夫が定年退職して、ずっと家にいるようになること」と答える女性は、本当に多いですよ。奥さんにとって、子育てが終わって、ひとりで自由に過ごせる“黄金の10年間”が、夫の世話で終わってしまうわけですから。

――「自立しない子ども」に関する特集も、最近よく見掛けます。これも自身の老後に対する、ひとつの不安なのでしょうか。

まさにそうです。2012年5月、「子どもに老後を奪われない」というタイトルで初めて扱ったテーマですが、かなり大きな反響がありました。最近では、どんな家庭でも直面する可能性のあるリスクと認識されています。

子どもが実家を出て行かないとなると、親の人生設計は大きく変わります。老後は世界一周旅行……なんて夢は、水泡に帰します。65歳で定年したとして、子どもはおそらく30~40歳。この子が自立してくれない場合、親は死ぬまで子どもの面倒を見、さらに自分が死んだ後の子どもの老後を心配しなければなりません。

バイトでもして家におカネを入れてくれるなら別ですが、まず食費がかかる。水道光熱費も夫婦2人分よりはるかにかかる。病気をしたら医療費も払いますよね。後は、子どもの国民年金。自分の年金から子どもの年金を払い続けるという、信じがたいようなことも起こります。離婚した娘が帰って来て、娘に加えて孫の面倒まで見なければならないというケースもあります。

でも、今はまだいいんですよ。今のタイミングで退職する世代は、退職金も年金も満額もらえて、持ち家もあって、余裕があります。これが15年後になると、そのときに退職する世代の経済状況は、まったく違う。70~80歳になる親を見るのも大変だし、まして家に居座る子どもを見る余裕はありません。

次ページパートには出るのだが……
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