川淵流「独裁力」がBリーグ設立を成し遂げた トップは独裁的に決断を下すべきだ

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それからしばらくして、FIBAのバウマン事務総長から連絡があった。JBAの再生を図るタスクフォースを設置するので、そのチェアマンに就任してほしい、という話だった。

オリンピック予選に出場するには、2015年6月までに制裁解除にこぎつけなければならない。残された時間は約4カ月。誰もが無理だと思うだろう。
だが、ビジョンを示し、それを実現するための道筋さえつければできないことはない。

僕は覚悟を決めて、「解決できるのは僕しかいない」と即答した。僕の不遜なまでの言い方に、彼は驚いたようだった。

リーグ統一はもちろん一筋縄ではいかなかった。FIBAから、6年も前から問題視されていながら、誰も解決できなかった難問なのだから、当然だ。2015年2月に行われたリーグ統一のための代表者会議では、各チームの代表の反発心や猜疑心がそこかしこに見え、終始張り詰めた空気が漂っていた。bjリーグとNBLの双方から、反論とも言える意見や質問が次々と出てきた。

bjリーグの島根スサノオマジック社長が自身のブログで、「すでにプロチームが10年間、地道に経営を行って発展を続けて来ているところにいきなり、何の擦り合わせもなく“ルールが変わるので従ってください”と言われても難しい」と書いていたというのも聞いていた。

競技規則も選手の待遇も異なっていた

NBLとbjリーグは、競技規則も違えば、試合運営のやり方も審判員制度も違う。移籍やサラリーキャップ(年俸の上限)など、選手の待遇についてもまったく異なるルールでやっていたため、その調整に相当な時間がかかることが予想された。また、bjリーグの累計損失が15億円近くもあったため、その事業価値の評価額を合意するのもそう簡単ではなかった。

そこで、両リーグを運営する法人とその事業を切り離し、事業のみを、新たに設立するリーグに移転する。そのために両リーグに加盟するチームには、2015年4月末までにそれぞれのリーグに退会届けを出したうえで、新リーグに加入してもらうという方法を取ることにした。

この代表者会議の席で、僕は私案として新リーグの構想を示した。

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