キャリアチェンジに成功する人の「共通点」 安倍政権下で加速する、正社員雇用の流動化

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さらに未経験の仕事への転職では、昇給や年収アップが難しいというデメリットも。例えば、金融機関からメーカーの財務部にキャリアチェンジしたDさん(29歳)は年収が20%以上ダウンしたそうです。それでも、

「将来、経営全般にかかわる仕事ができる可能性があるので、収入ダウンは気になりませんでした」

と、収入ダウンを上回るモチベーションの源泉があれば、キャリアチェンジを決意できる場合もあります。

ただ、繰り返しになりますがキャリアチェンジを決断できる人は、そう多くはありません。現実には、現在の仕事の延長線上で将来を思い描く人が大半です。取材した、広告代理店営業職のGさん(29歳)は、

「世間で通用するスキルを備えているとは思えない。ましてやキャリアチェンジなど怖くてできない」

と本音を語ってくれました。縁あってかかわった職業を自らの意志で変えることは相当な勇気がいるのでしょう。では、現状維持で、同じ職業を続けることは得策でしょうか?ここからは、キャリアチェンジの現状とその対策について、さらに考えていきたいと思います。

キャリアチェンジで得るもの、失うもの

まずは現状について。リクルート社のwebサイトR25の記事「キャリアチェンジに成功した100名」を参考にさせていただくと、

《やりたい仕事が見つかって、キャリアチェンジした人は約4割》

となっています。情報収集をしながら将来性を感じる仕事を自ら見つけ、能動的に動くことができれば、成功する確率が高まるようです。

《年収や企業規模、社格にはこだわらなかった人が半数以上》

という興味深い結果も出ています。やりたいことを追求する一方、これまでの処遇も維持したいというのは虫のいい話。キャリアチェンジで成功した人は、すべてを手に入れたわけではなく、何かをあきらめてでも「やりたいこと」を選ぶ覚悟があったということでしょう。

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