東京ディズニー、2770万人目標は慎重すぎる 30周年効果大きく、入場者数は上振れ必至

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入場者数100万人上振れで、営業利益70億円上乗せも

仮に入場者数が会社の慎重な計画に比べて大きく増えるようなことがあっても、「パーク従業員の人件費が多少増えるようなことはありうるが、経費全体ではほとんど増えないだろう」とオリエンタルランド側では説明する。

東洋経済では現時点で、TDRの入場者数を会社計画よりも100万人程度上振れする可能性があると見ている。TDRの入場者1人当たり売上高が、オリエンタルランド側の今回想定した1万0700円(12年度実績は1万0601円)程度に落ち着くと考えると、テーマパーク事業の売上高だけで110億円近く(100万人×1万0700円=107億円)の上振れ余地がありそうだ。

実は周年イベントのある年度は、各種の記念グッズの販売が大きく膨らむことが多いので、入場者1人当たり売上高は、もっと拡大したとしても、決しておかしくはない。

TDRのテーマパーク事業は非常に限界利益率の高いビジネスであり、一定の売り上げ水準を超えた後は、上積み増収分の6~7割程度は営業利益に直結すると見られる。このため、仮にテーマパーク事業で売り上げが110億円上振れすれば、営業利益は70億円前後上振れしそうだ。

東洋経済では、今期のオリエンタルランドの業績について、売上高4250億円(会社計画に比べ約110億円上乗せ)、営業利益900億円(同・約70億円上乗せ)と予想している。

もっとも、テーマパークという事業は景気動向や天候などに左右される面も大きく、ビジネスとしては“水物”の要素が強いこともたしか。まずは会社計画の慎重な見通しを念頭に置きながら、30周年の盛り上がりぶりを見守るのが、投資家にとってもディズニーファンにとっても賢いスタンスといえそうだ。

(撮影:尾形 文繁)
 

大滝 俊一 東洋経済 記者

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おおたき しゅんいち / Shunichi Otaki

ここ数年はレジャー、スポーツ、紙パルプ、食品、新興市場銘柄などを担当。長野県長野高校、慶応大学法学部卒業。1987年東洋経済新報社入社。リーマンショック時に『株価四季報』編集長、東日本大震災時に『週刊東洋経済』編集長を務め、新「東洋経済オンライン」発足時は企業記事の編集・配信に従事。2017年4月に総務局へ異動し、四半世紀ぶりに記者・編集者としての仕事から解放された

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