たった1回のTV討論会で大統領は決まらない 日本人が知らなすぎる「米大統領選の真実」

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第1回のTV討論ではヒラリーが圧勝。だがこれで「ヒラリー大統領誕生」と決め付けるのは早すぎる(写真:ロイター/アフロ)

1992年の映画に「a few good men」(ア・フュー・グッドメン)という映画があった。絶頂期のトム・クルーズの若さと、円熟味を増したジャック・ニコルソンが競演した、そこそこ面白い映画だった。

ヒラリーは「特訓」で「初回勝利」を飾ったが・・

8100万人以上が観たというヒラリーとトランプの討論会。直前のCNBCに登場した政治アナリストは、この映画を持ち出した。”討論会に備え、ヒラリーは心理学者を雇い、トランプをジャック・ニコルソンに仕立てる特訓をしている”と言ったのだ。

どういうことか。映画のあらすじは、米国の海軍内部で事件とも事故ともいえない不祥事(殺人)があり、不祥事を隠そうとする長官(ジャック・ニコルソン)に、正義感の強い弁護士(トム・クルーズ)が挑むというもの。クライマックスは、物的証拠がないなか、長官が証言台にたった軍法会議。そこで弁護士は心理戦に挑んだ。最初は控えめに、徐々にプライドの高い長官の矛盾や弱点を巧みに突いた。最後、怒りで冷静さを失った長官は決定的な言葉を吐き出す「You cannot handle the truth」 (信実よりも、軍を守るほうが重要だ)。

間接的に自分が嘘をついたことを認めてしまったジャック・ニコルソン。ヒラリーは、わざわざ心理学者までよんで、同じ手法でトランプを追い詰める特訓をしていたというのだ。

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