アベノミクスで就活生が高望み? リクルートが大卒求人倍率を発表

拡大
縮小

また、300人未満企業の求人倍率は横ばい(前年は3.27倍、今年は3.26倍)だが、5000人以上企業の求人倍率は微減(前年は0.60倍、今年は0.54倍)となっている。

リーマンショック以降、就活生が中堅・中小企業に目を向けるようになったが、このところ、アベノミクス効果で明るい話題が増えていることから、就活生の大手志向が再び強まる気配がある。

景況感が上向いてきたことで、「自分でも大手企業に入社できるかも」と高望みする就活生が増加しそうだが、現実は甘くない。リクルートワークス研究所主幹研究員の豊田義博氏は「大手企業は毎年一定数を採用するが、景気が上向いても採用人数はそれほど多くならない。学生はアベノミクスに浮かれてはならない」という。

金融業の求人倍率は過去最低

業種別に見ると求人倍率が高いのは、「建設業」と「流通業」。「建設業」の求人総数は6万1000人と、前年(6万人)とほぼ同水準だが、就職希望者数は1万3000人と前年より1400人増加した。求人倍率は、前年より0.55ポイント低下の4.77倍。

「流通業」の求人総数は21万5000人と、前年の21万2000人より増加。就職希望者数は4万5000人と前年より1万2000人減少したにもかかわらず、求人倍率は4.76倍と前年より1.03ポイントも上昇した。

一方で、求人倍率が低いのは「金融業」で過去最低水準の0.18倍。 求人総数は1万人と、前年とほぼ同水準だが、就職希望者数が前年より6000人も増加した。就活生の金融志向=安定志向は高まっているとも言える。

(撮影:今井康一)

 

田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT