大学入試の「試験一発方式」はもう限界だ

物理的にもマッチング的にも課題だらけ

慶應義塾大学SFCは2011年から毎年「未来構想キャンプ」を実施している。これは、SFCのキャンパスを舞台にしたワークショップだ。全国の高校生がSFCの教員と、先端的な研究テーマを囲んでグループワークに挑む。そして、その中で行われるプレゼンテーションで功績をあげると、最難関と言われるSFCのAO入試の出願資格(C方式)として認められる仕組みになっている。

このC方式で出願すると、AO入試の1次試験(書類選考)は必ず通過できる。つまり、この未来構想キャンプは、AO入試の1次試験とも言えるのだ。

その未来構想キャンプに、今年、新しい「滞在型ワークショップ」が登場した。高校2年生を対象に、教員とひとつ屋根の下、1泊2日で行われる。

宇宙飛行士の最終選抜試験は「閉鎖環境」での1週間の共同生活だというが、確かに、生活を共にしたら、一発型の試験では見ることができない、その人のすべてが明らかになる。学生が、共に研究を続ける同志であるかどうかを見極めるには、下手な試験より「一緒に過ごす」ことのほうが有効なのだ。

この滞在型ワークショップでも、プレゼンで優秀と認められた学生には大きなインセンティブがある。ワークショップを担当した教員が、自分のメンター(師匠)となってくれる「未来構想キャンプ・フォローアッププログラム」に参加できるのだ。大学内で進行中の研究プロジェクトにインターンとして参加し、約半年間、大学教員による指導・助言を受けることができるようになる。

これから主流となる入試の共通点と問題点

お茶の水女子大学と慶應義塾大学SFCの事例に共通しているのは、すでに試験一発型ではなく、手間を惜しまず人物を見定めようとしている点だ。この流れは他大学にも広がっていくだろう。

しかし、複数の大学を出願する受験生にすれば、各大学の独創的な入試に対応することの負担は大きい。もちろん学校側にも、手間は膨大だ。

そこで参考にしたいのが、米国の取り組みだ。米国では入試プロセスがほぼオンライン化されている。活動履歴や志望理由書といった必要書類はすべてCommon AppsやUniversal College Applicationというシステム経由で提出できる。大学側は学生の個性を見極めたい一方、そのために必要な情報はどの大学も大部分は同じ。そこで、統一プラットフォームで学生募集を行うのだ。これだと学生も、大学ごとに何度も同じ作業を繰り返す必要がなく効率的だ。

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