生保の営業は「旧体質」から脱却できてない 覆面座談会で生保レディが実状を明かす

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――次に、マイナス金利に関して影響はありますか?

Aさん:あります! 一時払い商品が売り止めになり、給与に関するポイントも下がるので、今後はもっと売りづらくなりそう。

Bさん:一時払い商品の保障額やポイントが下がるのはまだわかるけど、売り止めは勘弁してほしい。保険は相続の際に受取人を指定できるので、預貯金とは違う役目があるのに、売り止めって、ありえない! 頭にきています。

Cさん:貯蓄商品のポイントが下がるので、売るなら今、ということで今は売れています。でもこの先は、貯蓄商品は"もう売るな"ということでしょうかね?

Dさん:国内商品は、やはり軒並み売り止めになったりしています。しかしその分、外貨建て商品はすごく売れていますよ。

Cさん:外貨建て貯蓄商品が売れているなんて知らなかった。

Aさん:うちにも外貨建てがあればいいのに。

Bさん:いい貯蓄商品のラインナップが欲しい。

現場の営業職員のことを考えてほしい

――最後に業界や会社に言いたいことがあればお願いします。

Aさん:今いる営業職員を大切にするほうが会社は発展すると思います。無理に採用しても、今のご時世、簡単に保険は売れない。無理に入ってもらった契約は続かないし、新人も続きません。会社のイメージを悪くするという悪循環に陥るだけ。採用は半年に1回程度で十分です。

Bさん:トレーナーや管理職の質の向上について、会社は抜本的な改革をするべきです。それから貯蓄商品の売り止めに大反対! もう一つ、パーティ施策とか無駄なことにおカネを使うのを、いい加減やめてほしい。もっと営業に役立つことをしてほしい。

Cさん:私はもうすぐ退職しますが、でも会社には本当に感謝しています。お客様に深い相談をしてもらって、自分が助けになることができて貴重な経験でした。会社に言いたいことは、海外の保険会社の買収等にお金を使う前に、現場の目の前の営業職員のことを考えてほしい。中堅やベテランを大切にしてほしいです。

Dさん:私は営業職員時代、なかなか伸びない給与に苦しい思いをしてきました。給与制度は新契約を中心にするのではなく、保有契約数や保有内容を重視すべきです。それが仕事を長く継続する意義につながるからです。それから、代理店に移ってみてあらためて営業職員のよさを実感したこともあります。たとえば営業職員時代に白地開拓を多く経験したことで、他社商品にも詳しくなり調べる癖が自然についていたこと、保険証券を見て一目で内容がわかるようになったこと、保全やアフターフォロー業務に自然に積極的になれることなど、自分にとって財産になった経験が多々ありました。

それでも、営業職員時代よりも代理店になった今のほうが、圧倒的に収入が多いという現実を、保険会社にはよく考えていただき、今、現場で頑張っている営業職員の方々の努力を無駄にしないよう、大切にしてほしいと思います。

(司会・構成:森田 直子)

東洋経済オンライン編集部

ベテランから若手まで個性的な部員がそろう編集部。編集作業が中心だが、もちろん取材もこなします(画像はイメージです)

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