財務省出身の黒田日銀総裁の考え方

市場動向を読む(為替)

4月4日、黒田春彦日銀新総裁は初会合で「異次元緩和」を決めた。黒田日銀は量的・質的金融緩和の開始を宣言。ベースマネーを今後2年間で2倍に増やすという大胆で、意欲的な緩和策である。

この決定を見て、筆者が受けた印象は「黒田総裁は日本のポール・ボルカーを目指しているのではないか」というものだ。

1979年8月にボルカーはFRB(米国連邦準備制度理事会)議長職をミラー前議長から譲り受けた。ミラーはインフレ昂進を許し、事実上の更迭に追い込まれた。就任早々、ボルカーは金利政策を放棄し、マネーサプライを政策目標とする新金融調整方式を採用。超金融引締め策を始めた。

後にボルカーショックと呼ばれる衝撃を市場に与え、人々のインフレ期待を抑制することを狙ったのだ。その結果、一時前年比15%に迫った米インフレ率は80年代前半に5%を下回るところにまで沈静化。超高金利政策も3年ほどで解除された。実は、ボルカーは米国の高インフレの遠因となった71年の金ドル交換停止(ニクソンショック)を財務次官として演出した張本人だった。自ら蒔いた種を10年後に自身で刈り取ったのだ。

黒田総裁は日銀が景気調節機能を担うべきという考え

さて、今回の異次元緩和で、日銀は金利誘導目標を放棄し、マネタリーベース・コントロール方式を採用したほか、長期国債の買入れ拡大と年限長期化を決めた。買い入れる国債の平均残存期間を従来の3年弱から国債発行残高の平均並みの7年程に延長することにした。

イールドカーブ全般に働きかけることを狙った政策であるとともに、現在拡張的になろうとしている安倍政権の財政政策への貢献を強く意識した政策である。これらの措置に伴って、黒田日銀は白川前総裁らが固執していた「日銀券ルール」も撤廃(正確には一時停止)。名実ともに、銀行券残高を超えて国債を保有することを日銀は認めた。黒田新総裁は過去の日銀を明確に否定するところから始めたのだ。

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