一流の人間は、「負け」を転がしてカネにする 格闘家・青木真也「夢を語るのは詐欺師だ!」

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今までの試合のベストは、長島☆自演乙☆雄一郎選手との戦いだという(撮影:福田俊介)
発売即、異例の2万部重版が決まった『空気を読んではいけない』が今、ビジネスマンを中心に火がついている。
著者である、青木真也はメジャー格闘技団体「PRIDE」でデビューした。しかし、デビューから1年足らずで「PRIDE」は消滅し、格闘技バブルは弾けた。ファイトマネーは底なしの下落が続き、出口の見えない負のスパイラルは、今なお続いている。
そんな中、青木真也だけはアジアに拠点を移し、アジア随一のファイトマネーを稼ぎ出している。不安定な時代を生き抜くビジネスマン必見のサバイバル術とは?

夢を軽々しく口にするのは詐欺と同じ

僕は、夢はかなわないものだと考えている。

具体的な過程を描けない夢など、すぐに壁にぶち当たるだけ。むしろ、壁にすらぶつかれずに、あっさりと終わることのほうが多い。格闘技界には、「世界チャンピオンになる」という夢があふれ返っているが、ほとんどの場合が口だけだ。僕は世界のレベルを知っているからこそ、計画性もなく「世界」を語る選手を詐欺師と見ている。

夢なんてかなわないものだと思っているからこそ、僕は自分のキャリアを現実的に積み上げてきた。

ファイターが生涯戦える試合を40戦とするならば、1試合が40年間働くサラリーマンの1年分に当たる。僕は引退を35歳と設定し、そこから逆算し、年間いくら稼がないといけないか考え、ファイトマネーの交渉に臨んできた。

強敵に勝利すれば自分の価値は上がる。だが、毎試合、格上の選手とギリギリの勝負をするわけにはいかない。つねにリスクを冒していては単なるバカだ。いかにして自分の市場価値を守り、上げていくかを考えると、普段は冒険せず、相性のいい相手を選ぶことが大事になってくる。

その中で、5試合に1度くらい“勝負どころ”を見極めて博打を打つ。

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