ネットは、「いじめ自殺防止」の武器にもなる 失われる命を救うためにやるべきこと

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「それから、保護者の方にお願いがあります。実は以前、ある有名な政治家がマスコミを通じて、『いじめられている人は親に相談してください』というメッセージを発信したことがあります。私はそれを聞いて、“コイツ、何もわかってないな……”と非常に腹が立ちました」

家は「いじめのない空間」

「家にいる時間、家族と過ごす時間は、いじめを受けている子どもにとって、ものすごく大切な『いじめのない空間』です、本当に重要な空間なのです。だからこそ、その空間を卑劣ないじめごときに侵食されたくありません。ですから親には言いたくないのです。『なんで相談しなかったの?!』とは、聞かないであげてください」

私はネットいじめという言葉が嫌いです。なぜなら、そのいじめはネットのせいではないからです。だって、もし仮にこの世からネットが消えたとしても、多分そのいじめは起きているでしょう?

同じ理由で「LINEいじめ」という言葉も嫌いです。そういう言葉が問題の本質を見えなくすると思っています。ですが、ネットを使って起きるいじめは、いじめを受けている子の家の中まで入りこんで、家族と過ごす大切な時間さえも侵食します。だからネットによるいじめは許せません。

私は学校に呼ばれて、ちょっとの時間、話をして帰ってくるだけです。もし相談を受けても、その場でアドバイスをするだけで、その後は何もできません。助けられません。「あの子はあの後、どうなったんだろう」と、気になっている子がたくさんいます。どうかネットを、愚かないじめの道具ではなく、いじめから命を救う道具として使って下さい。

小木曽 健 国際大学GLOCOM客員研究員

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おぎそ けん / Ken Ogiso

1973年生まれ、埼玉県出身。複数のITベンチャーを経て現職。書籍や講演、メディア出演などを通じて「ネットで絶対に失敗しない方法」やネットリテラシーに関する情報発信を幅広くおこなっている。これまでに企業、学校、官公庁などで2000回以上、のべ40万人に講演。著書に『11歳からの正しく怖がるインターネット』(晶文社)、『ネットで勝つ情報リテラシー』『大人を黙らせるインターネットの歩き方』(筑摩書房)、監修に『13歳からの「ネットのルール」』(メイツ出版)他多数。

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