年収5000万の37歳女性が結婚できない理由 東京カレンダー「新・婚活事情」<8>

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就活時期になり、外資金融への道に進んだのは、単純に、収入の魅力が大きかったからです。コツコツとデータを集めたり分析するのは好きでしたし、それで大金を稼げるなら、これ以上の仕事はない。

「外銀は美人が多い」という風潮は気になりましたが、セールスでない私の部署は、容姿は特に関係ありませんでした。私は、やはり大した苦労もせずに内定をもらい、これで自分の外見に対する引け目も、少しは払拭出来ると安心していました。お金さえ十分にあり、体調にだけ気を付ければ、少なくとも自分の面倒は自分で見れるからです。

言うまでもなく、普通の男性は私に興味を持ちません。私は外見へのコンプレックスが強すぎて、さらに可愛げのない性格をしています。お付き合いした男性は何人かいますが、私の恋人になるような男性は、私と同じように不器量な顔をしていて、偏差値だけは高い、偏屈な男ばかりでした。

キツく多忙な仕事は最高の大義名分だった

外資金融は一般的に、3年目くらいまでが一番辛いと言われています。とにかく仕事量が多く、それまで優秀だとチヤホヤされてきた人間が、プライドをズタズタに打ち砕かれ、早々にこの業界を去っていくことも多い。女性は特に、体力と精神力が持たずに、ほとんどが数年で辞めてしまいます。

でも私は、ただ仕事に打ち込むだけの生活が、かえって楽でした。「仕事が楽」という意味ではありません。怒られダメ出しをされることも沢山ありましたし、面倒な上司や同僚だっています。ミスをしたことも、恥ずかしい思いをしたことも、数え切れません。

しかし、「仕事が忙しい」「普通より稼いでいる」という事実は、私が恋人を作らないことへの、最高の大義名分になるんです。外見で負けている女にとって、それがどれだけ救いになるか、これは当事者にしか、絶対に分からないでしょう。

しかし、そんな私の平穏な人生が少しずつ変わったのは、30歳を過ぎてからです。同僚の男たちが、ほとんど結婚しました。彼らの中には、私と同じように、「稼ぎ」を取ったら何も残らないような男も多い。それなのに、皆が揃って、それはそれは綺麗でお上品な奥さんを手に入れるんです。

それまで一緒に切磋琢磨して頑張って来たはずなのに、彼らは結婚した途端に、「で、お前はどうするの?」と言った、上から目線の態度を取り始めました。世の中不公平としか、言いようがないですね。

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