消費増によるGDP押上げには新産業が必要

今年の春闘賃上げ率は昨年を下回った

今年の春闘の結果は、昨年を下回った。

経団連が発表した2013年春闘結果の第1回集計(大手企業35社)によると、賃上げ率(前年の賃金に対する賃上げ額の比率)は1.91%で、前年(同37社)より0.03%ポイント低下した。また、連合によれば、傘下大手企業1456組合の平均月額賃金引き上げ額は、前年比で51円にすぎなかった。

3月中旬、「大手企業ボーナス満額回答」が、新聞の第1面トップを賑わせた。しかし、結果を見れば、この有様だ。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」とは、こういうことを言うのだろう。しかも、これは大企業でのことだ。中小企業や下請け企業では、もっと厳しい結果になるだろう。

「ボーナス満額回答」が報じられたとき、「賃上げが消費を刺激し、景気が上向く」との解説もあった。しかし、消費増によるGDP成長率の押上げ効果は、少なくともこれから1年間はないことが明らかだ。

「上がりますよ、上がりますよ。ほら上がった」。これは、魔術師が観客を騙すときの口上だが、株価と為替レートにも効く。その結果、実体が変わらなくとも価格が上がる(それがバブルである)。しかし、このマジックは賃金には効かないことが、改めて確認された。

株価や為替レートは資産価格なので、期待で動く。しかも、変動が激しいときには、手っ取り早く儲けられる手段になる。大々的に報道されるのは、そのためだ。

これに対し、賃金や物価などのフローの変数は、期待では動かない。そして、「動かない」事実(本稿の冒頭で述べた事実)は、小さな記事でしか報道されない。だから人々は、株価や為替レートに気を取られて、フロー変数のことを忘れてしまう。

本連載のタイトルにもあるように、ストック価格がバブルによって大きく変動する一方、フロー価格の万年デフレが続いているのである。

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