激突!「リッツ」vs「ルヴァン」攻防戦の行方 棚取りを巡る戦い、軍配が上がるのは?

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1枚の大きさはヤマザキ製のものよりも一回り小さいが、ヤマザキ製が6枚を1パックにして9パック入りだったのに対し、モンデリーズ社製はワイドサイズ5枚を1パックにして8パック入り。小袋のかさばり具合が違うので、重量はヤマザキ製が1箱170gなのに対し、モンデリーズ社製は241g。ヤマザキ製もモンデリーズ社製もほぼ同水準の価格なので、重量でいえばモンデリーズ社製の方がだいぶおトクだ。

見た目だけでなく味もまったく異なり、モンデリーズ社製は焼き色が濃い上に塩気が強い。上に具を載せて食べることを前提に、焼き色も塩気も控えめだったヤマザキ製とは正反対。大手スーパーのPBのクラッカーの方が、味はヤマザキ製のプレミアムに近い。

まとめると、オレオは新旧が瓜二つ。プレミアムは新旧が別物になった。そしてリッツは味こそ違いは感じないものの、形状に大きな差がある。多少大雑把な作りでも味が同じなら今の人は受け入れるのだろうか。

新リッツは棚を獲得し続けられるか

「ルヴァン」の形状は角を落とした正方形だ。プレミアムの後継としては「ルヴァンクラシカル」を投入(ヤマザキビスケットのHPより)

ヤマザキはリッツの後継商品として「ルヴァン」を投入し、テレビCMも、これまで長年リッツのCMに出演してきた女優の沢口靖子を起用している。ルヴァンは角を落とした正方形で、円形のリッツとは全く違う。歯ざわりも若干リッツよりはしっかり目だが、味はよく似ている気がする。だが、ルヴァンを使ったチェダーチーズサンドは、チーズのフィリングの味がリッツのチーズサンドに比べてしっかり目という印象だ。また、プレミアムの後継商品としては、「ルヴァンクラシカル」を投入してる。

モンデリーズ社はCMに俳優の長谷川博己を起用し、量販店の棚の確保という点でもほぼ順調な滑り出しと言える。だが、熾烈を極める棚の獲得競争には何と言っても、営業力がモノを言う。モンデリーズ社製のリッツは多くの量販店でルヴァンと並べて売られている。ライバルとなったヤマザキとの勝負は始まったばかり。いったいどちらに軍配が上がるのだろうか。

伊藤 歩 金融ジャーナリスト

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いとう・あゆみ / Ayumi Ito

1962年神奈川県生まれ。ノンバンク、外資系銀行、信用調査機関を経て独立。主要執筆分野は法律と会計だが、球団経営、興行の視点からプロ野球の記事も執筆。著書は『ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人 球団経営がわかればプロ野球がわかる』(星海社新書)、『TOB阻止完全対策マニュアル』(ZAITEN Books)、『優良中古マンション 不都合な真実』(東洋経済新報社)『最新 弁護士業界大研究』(産学社)など。

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