スポーツ文化ワールドフォーラム

「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」
経済との異色コラボの可能性

注目の大型フォーラムはパートナー企業の取り組みに注目

「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」(主催:文部科学省・スポーツ庁・文化庁)が2016年10月19日〜20日(京都)、10月20日〜22日(東京)で開かれた。
同フォーラムは、ラグビーワールドカップ2019、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会、関西ワールドマスターズゲームズ2021などに向けて、観光とも連動させつつ、スポーツ、文化、ビジネスによる国際貢献や有形・無形のレガシー*などについて議論、情報発信し、国際的に機運を高めるためのキックオフイベントとしての国際会議だ。同フォーラムでは、ダボス会議を主催する世界経済フォーラムと連携し、官民ワークショップも行われた。多彩なプログラム、著名な登壇者による講演など、大きな成果を上げることができた。
*レガシー:スポーツイベントなどを契機として社会に引き起こされる、長期的でポジティブな影響。具体的には各種の施設やインフラの整備、スポーツ振興などを指す。

Co-creation Co-Growth
分野を超え、共創する未来

「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」は、その趣旨に賛同した多くの「パートナー企業」によって作り上げられた。

スポーツや文化の持つ力は計り知れない。国境や言葉を超え、互いの文化を尊重し、競い合う。この「力」の下に社会や経済を含めた私たちの生活が集結することで、多くの問題を解決し、多くの夢が結実する、そんな豊かな未来が見えてくるに違いない。

このフォーラムの壮大な理念に、実に様々な企業が集まった。Diamondパートナー5社、Platinumパートナー14社、Goldパートナー11社、京都パートナー8社、Allianceパートナー5社の計43社もの企業が参画したてというから、関心の高さがうかがえる。

パートナー企業は同フォーラムにおいて、ワークショップでのセッションの企画のほか、さまざまな取り組みを行なった。その内容は企業によって異なるが、いずれも、自社事業の枠組みにとどまらず、幅広い視点で、安心・安全、高齢化社会を見据えた、健康・長寿、さらには多様な人々がいきいきと豊かな生活を送ることができる社会の実現など、多様なテーマに向かい合おうとしている。

ここでは、パートナー企業の注目の取り組み例のいくつかを紹介しよう。

SOMPOホールディングス

SOMPOホールディングスは、「お客さまの安心・安全・健康に資する最高品質のサービスをご提供し、社会に貢献する」というグループ経営理念の実現に取り組んでいる。

中野嘉浩氏は、「『スポーツ・文化・ワールド・フォーラム』への参画は経営理念にも合致し、当社にとって大変意義がある。グローバル化、ボーダレス化が進む中で、保険のみならずあらゆる分野で世の中に貢献していきたい」と語る。

中野 嘉浩
損害保険ジャパン日本興亜株式会社 リーダー

その言葉どおり、SOMPOホールディングスは、同フォーラムのパートナー企業のうち、最上位のパートナー5社の1社であるDiamondパートナーとして参画し、グループCEO取締役社長の櫻田謙悟氏は、同フォーラムのアンバサダー(経済)に就任している。

アンバサダー就任式の場で櫻田氏は「本フォーラムが、日本ブランドのさらなる向上並びに日本人の自信と誇りにつながることを期待している」と述べた。

中野氏は「当社は『力と徳を兼ね備えた企業』を目指し、従来から文化・芸術を通じた取り組みを継続的に行ってきた」と話す。

たとえば「東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館」だ。日本で唯一、ゴッホの『ひまわり』を見ることができる美術館として親しまれており、開館39年目を迎えた2015年度には累計入館者数約543万人を突破した。

同美術館では、美術鑑賞教育の普及支援活動のひとつとして、新宿区立の小中学校を対象とする「対話による美術鑑賞教育」支援活動も行っている。

「お客様との接点強化や当社として持っている価値をお客様と共有させていただくために、全国での文化・芸術支援活動にも力を入れている」と中野氏は話す。 

2016年6月には、公益社団法人企業メセナ協議会と連携し、全国の芸術・文化活動を支援するファンド「SOMPO アート・ファンド」を新たに立ち上げた。 このほか同社は、一般社団法人障がい者自立推進機構が主催する、障がい者アートの普及啓発を目的としたコンテストのトップスポンサーでもある。9月には同コンテストの表彰式および展示会が開催され、各47都道府県から1作品を同社の特別賞として表彰した。

「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」では、国内外の政財界、スポーツ界の代表が基調講演などを行う「官民パネル」において、櫻田氏がパネリストの一人として登壇されたほか、「官民ワークショップ」では、今後、世界的な課題となる超高齢社会を先取りし、介護分野におけるICT・ロボットの技術革新をベースとした取り組みにより何が実現できるのか、人とICT・ロボットが"共存"することで、高齢者・その家族・介護スタッフが幸せになれる、理想の介護の未来、超高齢社会について議論や情報発信を行った。

10/21 Fri.|14:15〜15:15 『技術革新による、豊かな高齢社会実現に向けて』〜超高齢社会の介護分野において、ICT・ロボットの積極活用で何が実現できるのか〜

野村ホールディングス

野村ホールディングスは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会をゴールドパートナー(証券)としてサポートする。アスリートの応援はもとより、各種スポーツイベントへのグループ社員の参画なども積極的に行っている。今年7月には、尾﨑哲グループCOOを健康経営推進最高責任者として選定するなど社員の健康管理を経営的な視点で考え、健康課題により主体的に取り組む「健康経営」を組織的かつ積極的に推進している。

今回の「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」における同社のプログラムでも「健康」、特に高齢化社会における健康寿命をテーマに掲げ、「『金融ジェロントロジー』〜高齢者の活躍する社会が、健康寿命・資産寿命伸長への第一歩〜」と題したセッションを行なった。

同社グループの一員で、実務に根ざした研究および政策提言を中立的かつ専門的に行う野村資本市場研究所 研究部部長の野村亜紀子氏は、セッションの狙いについて次のように説明する。

野村 亜紀子
株式会社 野村資本市場研究所 研究部部長

「『金融ジェロントロジー』は、金融とジェロントロジー(老年学)が交差する学問領域です。米国で1980年代に生まれた概念で、まだ広く普及しているとは言い難いものの、今後いっそう重要性が増していくと思われます」

野村氏によれば、その背景として、長寿化にともない老齢期が人生の相当期間にわたるようになってきたことや、高齢者が人口に占める割合が上昇し社会全体への影響力が増大したことなどを挙げる。

「『健康寿命』をいかに延ばすかという問題への関心が高まっていますが、豊かな老後のためには金融面でも自助努力を伴う必要があります。個人や家族はもとより、社会全体にとっても重要なテーマです」

社会保障制度への依存には限界がある。自分で健康管理し、社会的に活躍することが期待されるように、資産管理も一層重要になりそうだ。むろん、投資家保護の観点も重要である。また、高齢者はまとまった資産を保有していることが多いが、判断力は低下しがちだ。詐欺などの標的になりやすいことにも留意せねばならない。

「証券会社では、高齢の投資家への勧誘についてルールを策定するなどしています。ただし、保護は重要ですが、それだけでは本当の意味での課題解決につながりません。金融機関だけでなく、医療なども含めた幅広い分野との連携が必要です」

それらを総合的にとらえるのがまさに金融ジェロントロジーというわけだ。当日のセッションでは、金融、経済、医療という異なる分野の専門家を招き、それぞれの視点からの議論が行われ、今後への期待が高まるものとなった。

10/21 Fri.|15:45〜17:00 『金融ジェロントロジー』〜高齢者の活躍する社会が、健康寿命・資産寿命伸長への第一歩〜

三菱ケミカルホールディングス

「当社グループでは、『KAITEKI』を社会と共有するビジョンに掲げ、その実現のために率先して活動するのが私たちであるとの思いを込め『THE KAITEKI COMPANY』をコーポレートブランドとしています。『スポーツ・文化・ワールド・フォーラム』への参画も、このビジョンの実現に資すると考えています」と、三菱ケミカルホールディングス 経営戦略室(総合・ケミカル)KAITEKIグループ グループマネジャーの神田三奈氏は語る。

「KAITEKI」とは、「時を越え、世代を超え、人と社会と地球の心地よい状態が続いていること」を示すという。

神田三奈
株式会社三菱ケミカルホールディングス 経営戦略室(総合・ケミカル) KAITEKIグループ グループマネジャー

独自の経営手法である「KAITEKI経営」にも注目したい。「サステナビリティの向上」、「資本の効率化」、「イノベーションの創出」という3つの基軸で経営をとらえ、その価値の総和(ベクトル)を企業価値とし、その価値を高めようとするものだ。「THE KAITEKI COMPANY」を実現するための判断基準も明確で「Sustainability(GHG削減、省資源・省エネルギー)」、「Health(シックケア、ヘルスケア)」、「Comfort(新素材・新機能、快適性・信頼)」を具現化する活動に特化するという。

「化学・素材メーカーという立場から、スポーツや医療などの分野にも貢献していると自負しています」と神田氏は話す。

たとえばドーピング検査だ。グループの一員であるLSIメディエンスのアンチドーピングラボラトリーは、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)から日本で唯一認定を受けた検体分析機関として高い信頼性と実績を誇る。

同社グループは、障がい者スポーツにも取り組んでいる。たとえば、アスリートをサポートする補助具の研究開発だ。グループ企業の地球快適化インスティテュートは、義足で競技を行う陸上短距離の前川楓選手とスポーツ用義足の開発に関するスポンサー契約を締結し、共同で開発を進めている。このほか、人工関節材料開発にも取り組み、身体機能の維持・回復に貢献している。また、最近では再生医療分野にも参入している。

「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」においては「身体障がいが個性となる未来〜機能不全の克服〜」というテーマでセッションを行なった。神田氏は「体の機能を失っても、義足やロボットスーツなどのバイオニックデザインと再生医療の連携などにより、再び、自分らしく生き生きと活躍できるKAITEKI社会が実現すると考えています」。

10/21 Fri.|09:00〜10:00 『身体障がいが個性となる未来〜機能不全の克服〜』ロボットスーツと再生医療の連携で、いかによりよい未来を作れるか

 

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文部科学省
スポーツ・文化・ワールド・フォーラム準備室
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