首都圏工事で活躍!「建設ロボット」大革命 これまでの作業負担が一気に軽減

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鉄筋の組み立てはコンクリートを流し込む前に行われる作業、ロボットで負担は軽くなる(記者撮影)

2020年の東京五輪に向けて工事が急ピッチで進む東京外かく環状道路。都心から埼玉県、千葉県と半径15キロメートルのエリアを結ぶこの道路は、物流の大動脈としての役割とともに、首都圏の慢性化した渋滞緩和にもつながると期待されている。千葉県区間(松戸市~市川市)は来年度中にも開通する計画だ。

その千葉県市川市のトンネル工事現場に、重い鉄筋の配置作業を支援するロボットが登場した。清水建設とロボットを製造・販売するアクティブリンク、建設機械のレンタル・開発などを行うエスシー・マシーナリの3社による共同開発で、実用化に向けた稼働テストが行われている。これまで7人程度の作業員で運んでいた200キログラム前後の鉄筋を、ロボットがあれば半分以下の3人で運ぶことができる。

ロボットは人間の右腕と同じような仕組みで、右肩、上腕、ひじ、下腕、手にそれぞれ相当する5つのパーツと制御盤で構成される。作業をするにはまず、右肩に当たる「肩旋回部」を柱に固定した後、手の部分である「把持部」に鉄筋をつかませる。昇降ボタンで鉄筋を持ち上げ、作業員がロボット先端に付いているグリップを押すと、簡単に鉄筋を移動させたい方向へ動かすことができる。

鉄骨を重さを感じることなく運べる

操作を行う作業員1人と両端を握って配置場所を決める作業員2人は、グリップや鉄筋を持ってはいるが、その重みを感じることはほとんどない。以前は7人で鉄筋を運びながらも、一人30キロ程度の重さを抱えていただけに、作業員の負担は大幅に軽くなる。

ほとんど鉄骨の重さを感じずに運ぶことができるという

鉄筋の組み立ては、トンネルやビルの工事でもコンクリートを流し込む前に行われる重要な基礎作業。最近は耐震性を強化するため、高密度の重い鉄筋を配置することが増え、作業員の負担が重くなっていた。今後、作業効率性を検証し、地下道路や地下トンネルなどの工事現場で導入を検討するという。

渋谷、品川、虎ノ門―。東京都心で熱を帯びる再開発ラッシュ。その現場でも、ロボットが活躍することになりそうだ。

高層ビルの内側では、鉄骨の柱が縦に伸びる建物を支えている。建築現場では、運び込まれた鉄骨をつなぎ合わせる溶接作業が欠かせない。ただ、ずれが出ないよう細心の注意を払いながら熱を加え続ける作業は集中力と正確性が求められる。職人不足も深刻だ。

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