32歳高年収女子、「暴走デート」の全内幕 東京カレンダー「崖っぷち結婚相談所」<3>

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その後は出身地や住んでいる場所、大学の話など、簡単なプロフィールを交換するような会話が続いた。飯島は横浜生まれで、早稲田大学出身。経営するIT系の会社は順調で、現在はオフィス兼自宅の番町のヴィンテージマンションに住んでいるとのことだった。

温和そうな人柄も、なかなか杏子の理想に近い。彼もきっと、この面談に満足しているに違いない。

「飯島さん、もしお時間あれば、上の「嘉門」で、鉄板焼きのランチでもご一緒しませんか?運動後なので、お肉でタンパク質を摂りたくて。なかなか素敵なお店ですよ」。上機嫌の杏子は、サラっと飯島に誘った。

「大変嬉しいお誘いですが、すみません。今日は午後から仕事に戻らなくてはならないんです。是非、またお食事をご一緒させてください。申し訳ない」。飯島は本当に申し訳なさそうに謝っていた。もちろん、仕事ならば仕方ない。彼はそのタイミングでウェイターを呼び止め、コーヒー代を払い、そこで解散となった。

「本当に、素敵な方とお会いできて光栄でした。では、また是非」。飯島は、最後まで丁寧にお辞儀をして去って行った。ランチが出来なかったのは残念だが、婚活は初速からかなり良いスタートだった。きっと杏子から直人に「引き続き会ってもいい」と伝えれば、すぐに2回目のデートをセッティングされるに違いない。

「ふふふ」。つい、笑いが声に出てしまった。婚活なんぞ、やはり自分のような女には、さして難しいものはなかった。

杏子はルブタンのヒールでカツカツと床を鳴らしながら優雅にタクシーに乗り込み、ご機嫌で帝国ホテルを後にした――数日後、杏子は直人に激しく叱咤されるなど、知る由もなかった……!

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