「飲む日焼け止め」は効くのか、効かないのか 科学的に効果は証明されていない

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また、抗酸化物質が多く含まれる製品の摂取は慎重にすべきだと言う専門家は多い。抗酸化物質の取り過ぎは危険な副作用を招く可能性があるからだ。

塗り直しと日よけが最良の手段?

経口摂取型の日焼け止めはまた、「化学工学的な課題」を突きつけているとリーゲルは言う。有効成分がどのくらい胃から吸収されるのか、吸収されてどの程度、効果が残り、また皮膚に広がって保護層を作れるのかといったことはまだ分かっていないからだ。

スキン・オーソリティ社のセレスト・ハイリング創業者兼最高経営責任者(CEO)はこの数年、日常使いの化粧品を日焼け止め効果を持たせるすべを模索してきた。「簡単なワンステップで肌を守れるようにするのがメーカーの責務だ」と彼女は言う。

同社では、紫外線をブロックする効果が研究で認められている二酸化チタンが含まれる保湿液やひげそりローションに製造している。だが普通の日焼け止め同様、水や汗でぬれるとすぐに落ちてしまうのが難点だ。

日焼け止め成分の入った洗濯洗剤や、紫外線を浴びすぎると色が変わって注意を促すブレスレットの開発を進める企業もある。経口摂取型の日焼け止めもいろいろ出てきている。

リーゴルは新しいタイプの日焼け止めの科学的な技術開発に取り組む複数のバイオテクノロジー関連の新興企業の顧問となっている。

だが現時点では、安全を取るなら昔ながらのやり方にしがみつくのが一番だというのが彼のアドバイスだ。つまり、何度も日焼け止めを塗り直し、最も暑い時間帯には何かを羽織って肌をガードし、できるだけ日陰にいるようにせよ、というわけだ。

もちろん、消費者の中には医師の意見など気にしないという人もいる。カイルは数日間、UVOを飲まずに海に出るという体を張った実験をやってみたそうだ。

「目に見えて違いがあった。医者の言うことなんてどうでもいい。私には効果があるのだから」

(c) 2016 New York Times News Service

(執筆:Alyson Krueger記者、翻訳:村井裕美)

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