過度な「自己分析」は就活の妨げでしかない 先輩たちは早めに活動すべきと勧めるが…

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「自己分析をして何がしたいかを明確に自覚しないとスタートに立てない」という学生のコメントを看過することはできない。

3.「自己分析」そのものにはまる学生
・何よりも自己分析!!!
・自己分析。自分の本当に求めているものを知ること
・自己分析。いままでどういうことをやってきたか、どういう強みがそこで培われてきたか。自分がどんなことをしたいのか、そのために何が必要なのかを、きちんと考えておくこと
・自己分析。自分の人生を振り返ってみたり、他人に客観的な角度から自分のことを聞いてみる
・自己分析を日々欠かさずする。気づいたことがあったらすぐスマホでもなんでもいいのでメモ!それをノートやワードなどにまとめておくと、いざというとき役立つ!
・自己分析。これが出来ていればその後のことはスムーズに行くと感じたため

 

自己分析のやり過ぎは就活を阻害?

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自分とは何か、本当に求めているものは何か、などを考えることは就活時に限ったことではなく、人生においても非常に重要なことだ。その意義を否定することはない。ただ、こうした自己分析に多くの時間を費やしてしまうと、実際に動く就職活動(企業を回って、働く人と会い、話を聞き、内定を得る)が阻害され、頭で考えてばかりの活動になってしまう危険性がある。

自己分析がうまくできないと言って時間をかけ過ぎる学生や、さらには自己分析をした結果、自分は過去に何も成し遂げることができなかったダメな奴だと落ち込み、就活から引きこもってしまう学生も見られる。あえて言うが、「たかが就職活動」くらいで、そんな精神状態に追い詰められてしまうのはバカバカしいことである。会社訪問など、動く就職活動を優先しながら、必要に応じて自分はどういう仕事が合うのかを考えてみればいいだけのことだ。

私には3人の子どもがいて上の2人は社会人になったが、就職活動時に自己分析はまったく必要ないとアドバイスし、その通り自己分析をしないで就職していった。何も困らなかったうえに、極めて省エネでの就職活動になった。それでも、活動をしながら自分に合う仕事、自分に合う会社を考えて、就職先企業を2人とも決めている。その程度で十分だと思う。

就職先を決めることがゴールではもちろんない。会社に入ってからスタートする社会人生活で、何を成し遂げるかが重要だ。会社を変わることだってある。そこで改めて考えることもあるだろう。就活時の自己分析をやり過ぎないことが大事だと、あえて先輩たちと違うアドバイスをしたい。

寺澤 康介 ProFuture代表 HR総研所長

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てらざわ こうすけ / Kosuke Terazawa

1986年慶應義塾大学卒業。就職情報会社役員等を経て、2007年現会社設立。日本最大級の人事ポータルサイト「HRプロ」、経営者向けサイト「経営プロ」を運営。約25年間、採用・人事関連のコンサルティングを行う。2015年より中央大学大学院戦略経営研究科 客員教授。週刊東洋経済、労政時報、企業と人材、NHK、朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、アエラ、文春等に採用・人事関連の執筆、出演、取材記事掲載など多数

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