日本人が知らない、アフリカ・スーダンの今 スーダン共和国、モハメッド・エルガザーリ公使に聞く

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日本もそのうちスーダンに進出したくなるときが来るはずです。でもそのときにはすでに遅いのです。ほとんどのマーケットが、ほかの国に押さえられているでしょうから。

――中国がこれだけ進出しているのに、日本が進出しない、その違いは何だと思いますか?

エルガザーリ公使:中国と日本では、マインドセットが大きく異なります。中国はリスクを取る準備ができています。リスクがあってもその国に入って行き、地域を研究して、どれくらいのリスクがありうるか、どこにビジネスチャンスがあるかを見る。もしそこにリスクがあったとしても、チャンスがあるならば入り込む。そうして利益を得ているのです。

中国はスーダンの石油に投資していますが、南北の和平調停の前から、そのうち落ち着くことを見越して入ってきていました。残念ながら、いくつかのトラブルに巻き込まれたこともありますが、それは利益を得るための必要なリスクと割り切っているのです。

日本は、そのようなリスクがあるところには入らないでしょう。ある程度の安全が保証されてから入る。そこが日本と中国の違いです。

日本人の道徳観が強みになる?

日本人はほかの国の人よりも、スーダンの文化になじむことは難しくはないと思うのです。

その理由としては、スーダンの人はゲストをとても親切にもてなします。できることは何でもして助けたいと思うのです。一方、日本人はとても礼儀正しく、人に刃向かったりしません。マナーや態度がとてもよく、スーダン人と近い意識を持っています。

日本人はとても誠実です。確かに物事を決めるまでには時間がかかります。しかし、一度決まったことはまじめに着実に実行します。だから気持ちよくビジネスを進められるのです。

ビジネスは、その国の文化に大きく影響されます。スーダンの場合は、イスラムの文化を知らないとビジネスを行うことはできません。私も長く日本に住んで日本のことを知っていますが、日本人とスーダン人はパーソナルキャラクターが近いように感じます。日本はイスラム教の国ではありませんが、ムスリムのような道徳観が日本にはあります。それが日本の強みです。

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