混迷する中東を読み解く「世界史」の3視点 「数年、数十年、数百年」の流れを見よ

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中東の民族の歴史からすれば何のいわれもない、人工的な国境線を引いたサイクス・ピコ協定から100年(写真:mimi / PIXTA)
日本を代表する論客として、テレビや雑誌などの各メディアに頻繁に登場する寺島実郎氏。
三井物産の調査マンとして1970年代から中東に関与し、アメリカ、欧州と世界を舞台に情報収集・分析活動を続けてきた。
このほど、その集大成として、中東と大国の利害、日本の関与、宗教、原子力などを複合的に読み解いていく書籍、寺島実郎著『中東・エネルギー・地政学 全体知への体験的接近』を刊行し、話題となっている。
なぜ、いま、中東と宗教が話題なのか。日本はどう関与していくべきか。
同書の内容を編集するかたちで、世界を読み解く視点を提示する。

現在の中東がどんな状況にあるのか

いま、世界をどう見るべきか。日本を代表する論客が、いままで誰も書けなかった中東・エネルギー論を展開

最近、世界各地でISISに関連すると見られるテロが頻発している。

6月末には、トルコ・イスタンブールのアタチュルク国際空港で、自爆テロ犯が40人以上を殺害。7月に入ると、バングラデシュ・ダッカで、日本人7人を含む少なくとも20人が殺害された。イラクの首都バグダッドやサウジアラビアでも、テロが発生している。

こうして、イスラム過激派が国境を越えた「グローバル・ジハード」とでも表現すべき暴走を始めたことには、どんな背景があるのか。世界潮流の深層ではいったい何が起こり、どのような地殻変動を起こしつつあるのか。

それを知るには、現在の中東がどんな状況にあるのかを、歴史的に考察する必要がある。

次ページ中東の現代史は、欧米大国の横暴の歴史そのもの
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