「宿題丸写し」でハーバード合格した子の秘密 型破りな「家庭教育」に込められた深い思い

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彼らの住む未来は、コミュニケーションに文字は不要で、気象も正確に予測でき、○○地所が宇宙に家を建てているかもしれないのです。今の私たちの文明レベルを理解してもらうには、文字・数式・芸術・コンピュータなど現代の私たち大人が使っているあらゆる「記号」を一つひとつ丁寧に根気よく説明し、森羅万象を楽しめるよう“おもてなしの心”で接するのです。

学校の勉強と人生勉強

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私は娘に学校の勉強は平日にこなし、週末は学校の勉強ではなく、「人生勉強」をするように幼い頃から促していました。

私自身は学校の勉強を重視していなかったのもあり、娘に提案したのが「学校の宿題は解かずに答えを丸写ししながら丸暗記する」ことでした。

先生が生徒を信頼して、解答つきの問題集をそのまま配布し、それを宿題にすることがあります。そこで答えを丸写ししつつ丸暗記。答えを暗記してから提出するので、決して「サボった」ことにはなりません。問題を解く時間をカットして理解を優先したまでです。

ただし、宿題を拒否するのは社会のルールに反するので、きちんと提出すべきでしょう。ならば宿題の本来の目的である「学習」をすればよいわけで、解くと時間がかかる問題は丸写し&丸暗記すればよい。こうして余った時間は有効に使うのです。

私は、娘が幼い頃から休日になるとささやかなホームパーティを開いていました。私自身が友人や知人と楽しくおしゃべりする機会を作り、娘にはさまざまなバックグラウンドを持つ人たちと触れ合ってほしかったのです。

それぞれのゲストが持ち寄って手料理をふるまっていると、おいしいご飯の評判を聞きつけて外国人も訪問してくるようになりました。彼らと英語で会話を交わしているうちに、娘の英語力と国際的な社交力もかなり底上げされたようです。

子どもの頃からこうした交流を通じて場数を踏んでいれば、社交性や社会性は無理なく身につきますので、これは大人になっても役立つ人生勉強になるのではないかと思います。

宿題は答えを丸写しでいい、だけではなく、他にも、模試を受けるな、成績1番にこだわるな、塾に通わない、など、私が娘に言ってきた勉強の方針はいろいろあります。あらためて考えるとロクなことを言っていないようですが、このくらいドラスティックなことをしない限り、時代に先を越されてしまいます。

いま流行っていることは、すでに時代遅れ。常に時代の先を読みながら子育てをしたいと思ってきました。私にとっての子育ては「娘が明るく楽しい未来を実現してくれるためのお手伝い」。子育ては親が自分の子ども時代を追体験することでもありますから、ぜひ楽しみながら、何らかの家庭学習の参考にしていただけたらと思っています。

廣津留 真理 Dirigo 代表

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ひろつる まり / Mari Hirotsuru

大分県在住。早稲田大学卒。一人娘のすみれさんを幼稚園の年長に1年しか通わせない、学習塾に一度も通わせないなど、独自の方法で子育て。すみれさんは小中高と地元大分の公立校で、一度も塾に通うことなく、留学経験もないまま、2011年12月ハーバード大学に現役合格。自らの子育ての実体験を踏まえつつ編み出した「ひろつるメソッド」を確立し、現在は大分市内で幼児から大学受験生までを対象にした英語教室、親力を育てるワンコインセミナー、英語で自己表現するサマーキャンプ「Summer in JAPAN」の3つを主宰。日本全国はもとより、海外からも参加者が集まっている。

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