テレ東・狩野アナが「モヤさま」で学んだこと 20代に伝えたい、仕事との向き合い方

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入社して8年目のいまになれば、その言葉の意味がよく分かります。入社してすぐの新人が、ひとりで何かできると思うほうが、よほど、おこがましい。すぐにできるほど簡単な仕事ではないし、もし本気でそう思っているとしたら、その仕事をなめているということになります。

デスクが言いたかったのも、こういうことだったのかもしれません。仕事というのは、それほど簡単なものではない。一人でできると思わず、きちんと周りを見て、人のアドバイスを聞きなさい。仕事を軽くみてはいけない、ということだったのでしょう。

若いときに注意されること、しかられることは「残念」なことではありません。むしろ「幸せ」なことです。

何事も、言ってもらえるうちが華! なのです。

「狩野にはもう言っても仕方がない。もう成長しないのだから、言うのはやめた」

もしもそんなふうに思われてしまったら、失敗は放っておかれ、そのミスにも気づかないままお気楽に毎日を過ごしていたかもしれません。当然ながら、何も成長できずにいたはずです。しかられるのも、注意をされるのも、少なくとも、まだ伸びしろがあると思ってもらえているということ(だと思いたい)。これからも「しかられることの幸せ」をかみ締めながら、日々精進していきます。

「モヤさま」ならではの”間”に苦戦するも…

2009年にテレビ東京に入社し、その後、「モーニングサテライト」や「ワールドビジネスサテライト」の現場を経た、2013年の春。「モヤモヤさまぁ~ず2」に携わることになりました。今回、卒業となるまでの約3年半、私にとって初めてのバラエティ番組は、勉強の連続、かけがえのない財産になりました。

「モヤさま」は言わずと知れた、さまぁ~ずさんの番組です。数々のレギュラー番組を持つお二人のいちばん近くで、もはや特等席でその楽しい現場を体感できている一方で、求められているその場での役割を何ら全うできていない自分に、毎度「喝!」を入れてきました。

『半熟アナ』にも書きましたが、偉大な先輩、大江麻理子キャスターからバトンを受け取った直後は、番組独特の“間”を理解できず、しゃべりたいときにしゃべりたいことをしゃべり、“間”を埋めてこのかた20数年生きてきた自分としては、“間”を埋めすぎてしまったり、お二人の言葉で場が盛り上がった直後に言葉をかぶせてしまって、面白さを半減させてしまったりするようなことが何度もありました。そのたびに周りからは、「狩野! 出すぎているぞ!」と注意を受けることもしばしば……。

「あああ、しまった。また調子にのって、つい出すぎてしまった……」

恥ずかしくなって、小さく小さく縮こまって静かにしていたときに、さまぁ~ずのお二人から、「狩野! 振られたら全力でいけよ! トライ精神をなくしたら人生終わりだぞっ!」と言われたことは忘れられません。

その言葉にどれだけ励まされて、背中を押されたことか……。

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