日本の持続的成長には「3本目の矢」が不可欠 シュヴァイツアー仏政府日本担当特別代表が語る

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――危機に陥った南欧諸国がドイツの基準を尊重しなければ、債務問題は終息しないのではないですか。

ドイツの成功は年間1500億ユーロに達する貿易黒字に依拠するものです。しかし、すべてのユーロ参加国が黒字を達成できるわけではありません。

フランスは約700億ユーロの赤字です。黒字ということは、労働力の海外輸出が可能であり、逆に赤字の場合には労働力を輸入していることを意味しています。つまり、フランスの失業者増の根底には貿易赤字があります。

赤字を減らすために最大限の努力は必要ですが、2国間の貿易で、ある国が黒字ならば、相手国は必ず赤字になる。ユーロ圏は域内の貿易不均衡という問題を抱えているのです。

――独仏関係の悪化が、債務危機解決の障害になるとの指摘があります。

両国の関係はうまくいっているときもあれば、そうでないときもある。欧州の発展や成功は両国の相互理解が前提になることを、フランスの大統領とドイツの首相はよくわかっています。(ユーロ安定には)両国の良好な関係だけでは十分ではありませんが、必要条件の1つといえるでしょう。

松崎 泰弘 大正大学 教授

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まつざき やすひろ / Yasuhiro Matsuzaki

フリージャーナリスト。1962年、東京生まれ。日本短波放送(現ラジオNIKKEI)、北海道放送(HBC)を経て2000年、東洋経済新報社へ入社。東洋経済では編集局で金融マーケット、欧州経済(特にフランス)などの取材経験が長く、2013年10月からデジタルメディア局に異動し「会社四季報オンライン」担当。著書に『お金持ち入門』(共著、実業之日本社)。趣味はスポーツ。ラグビーには中学時代から20年にわたって没頭し、大学では体育会ラグビー部に在籍していた。2018年3月に退職し、同年4月より大正大学表現学部教授。

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平松 さわみ 東洋経済 記者

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ひらまつ さわみ / Sawami Hiramatsu

週刊東洋経済編集部、市場経済部記者を経て、企業情報部記者

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