アマゾン攻勢!「YouTubeに宣戦布告」の勝算 「ビデオダイレクト」が目指しているもの

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ヤング・タークスは、追加会員制サービスにはコンテンツを提供していない代わりに、アマゾンのプライムビデオにコンテンツを配信して、その一部を購入やレンタルで視聴可能にしている。ヤング・タークスは、5月に同プラットフォームに進出して以降、膨大な視聴時間を稼いできた。これにより、アマゾンがビデオダイレクトの成績上位パートナーへ毎月配布する100万ドル(約1億円)の分け前にありついている。

「我々のビジネス全体のなかでは、まだアマゾンからの収益は小さい。ただし、アマゾンの重要性は毎月ごとに増してきている」と、ヤング・タークスのCOO、スティーブ・オウ氏は語る(同氏によると、ヤング・タークスは、全プラットフォーム合計で1カ月あたり2億ビューを獲得しているという)。

ライバルが無視できない存在

とはいえ、アマゾンはやはり、テレビネットワークや比較的大きなメディア企業との提携を増やすことを望んでいる。「アマゾンはどんな相手であれ、提携先を求めている。それでも、相手がより大きいほど、より望ましい」と、ある情報筋は話す。「ニッチに走らざるをえなかったのは、多くの(ビデオ・オンデマンドの会員制)サービスがニッチだからだ。この大きなビジネスチャンスを妨げていたのは、(既存のテレビの)配給協定と、ビジネスの売上をアマゾンに渡したくないという考え方だ」。

アマゾンは、より好条件の売上配分を提供することで、大手メディア企業も自らになびくのではないかと期待している。複数の情報筋によると、アマゾンは大手メディアに対し、プライムサービスによる売上の少なくとも70%を分配しているという。だが、小規模のメディア企業とデジタルパブリッシャーは、同様の恩恵を受けることはなく、アマゾンは往々にして、売上の半分を確保している。ある小規模パブリッシャーは、交渉の末に60対40の配分で合意できた、と明かす。

「対等の交渉力を発揮できる超大物でもないかぎり、アマゾンは50対50の分配から切り出す」と、このパブリッシャーは語る。「その割合だと、我々がこのプラットフォームに割り当てる予定のマーケティング支出は確実に制限される。マーケティング予算をどこに使うかを決めるとき、真っ先に向かうのは、売り上げ配分がより良いところだ」。

Sahil Patel (原文 / 訳:ガリレオ)

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DIGIDAY[日本版]編集部

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